「順境の日には喜び、逆境の日には反省せよ」(伝道者7:14)
売り上げが順調であり、会社の経営が安定しているときは、誰もが喜んでいますが、どんなに手を尽くしても売れず、仕事の依頼も来ない、経済的にも苦しい逆境の時には、気分も落ち込み、心が潰されたような思いになり、将来に道を見いだせないときがあります。
逆境は「人生の棚卸し」という表現をなさる方もあれば、「ビジネスの根を張るとき」と言う方もあります。「ビジネスに谷あり、山あり」は当たり前かもしれません。谷にいるときは十分に学びの時として、やがてくる成長に備えていかなければならないと思います。
「順境の日には喜び、逆境の日には反省せよ。これもあれも神のなさること。それは後の事を人にわからせないためである」(伝道者の書7:14)
私が落ち込んでいたとき、アメリカの友人が祈りの言葉をSNSで送ってくれて励まされました。
「天のお父様、最近、自分の力ではどうにもできないことを心配していました。私の人生で起こる全ての事柄について、私が恐れ、思い煩う必要がないことを、あなたが働いてくださることを信じることができるように助けてください。主イエスの御名によって アーメン」
過去の偉人たちも挫折を乗り越えて成功に導かれています。エイブラハム・リンカーンは若いとき、ピジネスのトラブルにより無職になります。州議会には8回落選したそうです。そして、最後は大統領になります。
発明王として有名なトーマス・エジソンは若いころ「生産性がなさすぎる」という理由で解雇されました。電球の発明のために失敗を繰り返しますが、「千回の失敗をしたのではなく、千回のステップを経て電球の発明ができた」と語ったそうです。
ウォルト・ディズニーといえば、今では知らない人はいません。しかし、彼は若いころ、新聞社を解雇されましたが、「彼は想像力に欠け、良い発想は全くなかった」と言われたそうです。ディズニーランドを建てる前に何度も倒産を経験しています。
偉人たちの生涯をみると、大きな働きをする人ほど、周りに理解されていないのではないかと思います。また、周囲の評価に左右されない信念を持っていたことが分かります。
イスラエルに砂漠の花園と呼ばれる地域があります。普段は砂漠で全く何もないような所ですが、いったん雨が降ると、一週間後には一面の花園が出現します。雨が降らなければ、2年でも3年でも花を咲かせるために待機するのです。
私たちに事業を起こす意欲や夢を与えてくださったのは主なる神様なのです。時がくれば、必ずや神様が花を咲かせてくださることを信じて待ち、深く根を張り、学び続けることが求められているのではないかと思います。
私がブライダル伝道を個人事業化してスタートした時は、47歳でした。ある知人が「事業を始めるのに、早い遅いはないですよ。始めた時が一番いい時だと思ったほうがいいですよ」と励ましてくれました。また、会社を法人化した時は、60歳近くになっていましたが、ある経営コンサルタントは「前向きな姿勢があれば、いつまでも青年の心で事業ができる」と励ましてくれました。
世間的に見て、事業が成功するとか、失敗するとかは誰も分からないと思います。どんな時にもチャレンジする精神を失わず、共にいてくださる神様に目を向けていくことが大切だと思います。
「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」(ローマ8:28)
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穂森幸一(ほもり・こういち)
1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。