現在来日公演中で4日の東京公演から今のところ28日までの公演が予定されている米国の歌手、ボブ・ディラン。英クリスチャントゥデイは2014年6月7日付の記事「ボブ・ディランは今もクリスチャン 伝説のアーティストと罪人の祈りを祈った男が語る(Bob Dylan is still a Christian, says man who prayed sinner's prayer with iconic artist)」で、彼のキリスト教信仰について次のように報じていた。
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彼の最新アルバム「テンペスト」はキリスト教への言及に満ちていたが、しかしボブ・ディランが自らの信仰を失ったといううわさは常に出回っていた。
かつて1978年にこの歌手と罪人の祈りを祈った男性は、この伝説の歌手は今も熱心なクリスチャンだと語っている。オスカー賞を受賞した作曲家でメシアニック・ジューのアル・カシャ氏は、ビバリー・ヒルズにあるカシャ氏の自宅で開いた聖書研究会で、ディランがキリストを自らの救い主として受け入れたとき、彼と一緒にいた。
ディランの改宗は、彼の音楽に大きな影響を及ぼし、その後に出たアルバム「スロー・トレイン・カミング」「セイヴド」「ショット・オブ・ラブ」は大いにキリスト教的だった。何十年も後になって、彼が2012年に発表した35番目のスタジオ・アルバム「テンペスト」には、似たような傾向がある。
しかしそれでもなお、一部の人たちはディランが自らの改宗を反故(ほご)にしたのではないかと考えてきた。「アシスト・ニュース」(米国のキリスト教ニュースメディア)のダン・ウッディング氏は数日前、ディランが今もクリスチャンだと思うかどうか、カシャ氏に尋ねた。
「もちろんだよ」と彼は言った。「イエス・キリストに関する歌を34曲も座って書く人は、誰だってイエス・キリストを信じているさ」
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ボブ・ディランの公式サイトには、彼が70歳になったことを報じるジャパン・タイムスの英文記事(2011年5月26日付)が転載されている。それには1978年の日本武道館での公演後、彼が自らの人生を不幸だと思い、ボーン・アゲイン・クリスチャンになったと記されている。
英クリスチャントゥデイは2015年4月9日付の記事「ボブ・ディラン、ビリー・グラハム牧師によっていかに感銘を受けたかを伝える(Bob Dylan shares how he was inspired by Rev. Billy Graham)」で、次のように報じた。
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ボブ・ディランは、ビリー・グラハム牧師に対して称賛のほかに表すものはなく、この福音伝道者が自分の人生を変えたと語り、グラハム牧師をロックンロールの伝説的人物にさえ例えた。
ディランはユダヤ人の家族から生まれたが、後にキリスト教に改宗した。彼のキリスト教信仰は、グラハム牧師によってとてつもなく大きな影響を受けたという。「僕が育った頃、ビリー・グラハムはとても人気があったんだ。彼は僕の人生で最も偉大な説教者であり、福音伝道者だった―あの人は多くの魂を救うことができたし、実際そうしていた」と、ディランは(米メディア)AARPマガジンに語った。
ディランはグラハム牧師の言動を少しでも見逃すまいと、50年代と60年代にグラハム牧師の主催する幾つかの集会に参加した。そして、グラハム牧師の説教を聞きに集まっていた他の人々と同様、グラハム牧師の話に感銘を受けずにはいられなかった。
「この人はロックンロールの化身みたいだ―激しやすくて、爆発的だ。彼にはまさにその髪の毛、気風、雄弁術がある―彼が語ったとき、彼は嵐を鎮めた。雲が去っていった。魂が救われて、時には3万から4万の魂が救われることもあった。もし当時のビリー・グラハム集会に行くことがあったなら、君は永遠に変えられただろう」と、ディランは話した。
グラハム牧師に匹敵する説教者は他にはいないとディランは付け加えた。ディランに言わせると、グラハム牧師は「どんなフットボールのチームやロックンロールのスターより、群衆をうまくひきつけることができる」。「もうずいぶん昔のことのようだけど」とディランは深く考え、「ミック・ジャガーが最初の曲を歌ったよりも、あるいはブルース(・スプリングスティーン)が彼の最初のギターにストラップを着けたよりもずっと―それは僕が忘れずにいるロックンロールの一部なんだけど―僕はそうせずにはいられなかったんだ。僕はビリー・グラハムを生で見て、彼の肉声をはっきりと聞いたんだ」
この歌手の信仰は、彼の歌の好みにおいてもはっきりしている。ディランは、自分が大好きな歌は「アメイジング・グレイス」だと述べ、特に「この身のけがれを知れるわれに(that saved a wretch like me)」という行が大好きだという。
「それは僕らが本当に正直なら、誰もが言えそうなことじゃないかな?」と彼は語った。「僕は霊的な歌が好きなんだ。それらの歌は真実で真剣だから、僕も心を打たれたよ。それらは僕を地面に打ち倒しては、全く同時に僕を引き上げてくれたのさ」
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1997年にはイタリアのボローニャで開かれた第23回世界聖体大会で、当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の前で演奏したというボブ・ディラン。彼の半生については、ボブ・ディラン著『ボブ・ディラン自伝』(ソフトバンクパブリッシング、2005年)に詳しく書かれている。