世界の子どもを支援するキリスト教系国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン(東京都中野区、WVJ)は4月、いまだ東日本大震災の影響を受ける福島県の子どもたちを対象とした「福島子ども支援事業」を開始する。福島県において1999年から、子ども・若者支援を行っているNPO法人ビーンズふくしま(福島県福島市)と協働し、子どもが本来持っている力を育み、豊かな人生を送ることができる環境づくりを目指す。
WVJは、震災発生2日後に被災地へスタッフを派遣して以来、子どもたちが健やかに育つ地域力の再生を目指して、主に宮城県南三陸町、気仙沼市、岩手県宮古市で支援活動を行ってきた。2014年3月の事業終了までに、子ども支援、雇用確保と生計向上、コミュニティーづくり、防災、福島県被災者への支援の五つの分野で活動し、約30万人を対象に支援を届けてきた。
WVJによると、東日本大震災から丸5年を迎えた福島県では、原発事故によって長引く避難生活、震災の直接的・間接的な影響により、家庭の生活基盤が変化し、生活上のさまざまなリスクが顕在化しつつある。多くの課題がある中、子どもたちは、暮らしや学びの環境の変化、生活の不安定化、心身へのストレスなど、日常的にさまざまな困難や制約に直面しており、これらの問題を軽減するため、子どもたちに寄り添い支える支援が、今、求められているという。
この事業を担当する高橋布美子スタッフは、「子どもや家庭にとって、住む場所、学ぶ場所、遊ぶ場所などの生活上の選択肢が限られることは、非常に苦しいことです。家庭や学校、地域と連携しながら、子どもに寄り添い、一人一人が本来持っている素晴らしい力を湧き出させる後押しができればと願っています」と語る。
WVJはビーンズふくしまと協働し、家庭訪問による生活困窮家庭への相談支援や地域の支援体制作り、そして、仮設住宅などで暮らす子どもに対する学びや遊びの支援と、地域の中での居場所作りなど実施する。東日本大震災後、被災した子どもたちやコミュニティーを支援してきた経験を生かし、福島県の子どもに今必要な支援を届けていく。
福島子ども支援事業の詳細は、ワールド・ビジョン・ジャパンのホームページまで。