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地上では旅人であり寄留者 穂森幸一(21)

2016年2月5日07時52分 コラムニスト : 穂森幸一
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「地上では旅人であり寄留者」(ヘブル11:13)

イスラエルの聖地旅行に参加したとき、とても旅慣れた人を見かけました。この方は毎年のように海外に出掛けていました。驚いたのは、2週間のツアーであったにもかかわらず、他の人より小さいスーツケースを持っていたということです。この方が「現地で必要なものはほとんど調達できます。なるべく小さくて軽いほうが動きやすいですよ」と言っていました。

私は2週間以上のツアーになると、着替えは何枚必要かとか、ひょっとしたら日用品も手に入らないかもしれないと心配しているうちに、荷物がどんどんふくれてしまいます。どこに行くにも大きな重い荷物と格闘し、行動が制限されてしまいます。

私は人生の旅においても同じことが言えると思います。新しい生き方のために牧師館から引っ越すとき、あまりにも荷物が多くて難儀しました。引っ越し業者が「もうこれで全部ですね」と言ったのですが、実は屋根裏に処分しようと思っていた不用品があり、結局、トラック一台分になりました。

ショッピングセンターで、欲しいと思ったもの、必要かもしれないと思ったものは、結局、なくてもよかったという場合があります。また、テレビコマーシャルが自分の中に無意識のうちに刷り込まれて買ってしまったものも少なくないように思います。

「すべて世にあるもの、すなわち、肉の欲、目の欲、暮らし向きの自慢などは、御父から出たものではなく、この世から出たものだからです」(Ⅰヨハネ2:16)

エンディングセミナーを開催したときに、必ず出席者から相談されることがあります。それは遺品整理で困っているということです。亡くなった人の部屋に入ると、物が溢れ、足の踏み場もないこともあるし、どこから手をつけていいか分からないということです。ご遺族からしますと、全てのものが思い出の品であり、不用品でもあるので困っているというのです。

元気なうちに身の回りを整理し、不用品を処分していくと、身も心もすっきりしてくるし、残された家族に負担をかけなくて済むのではないかと思います。ある専門家の話では布団一組と、スーツケース一個に入るだけの身の回り品で十分生きていけるし、周りの人に迷惑をかけなくて済むということです。

会社経営にも同じことが言えると、経済セミナーで聞いたことがあります。立派な社屋や社有地の維持が負担になっているケースが多いそうです。会社としてどうしても持っていないといけないのは、経営理念、指針、事業計画書、特許、アイデアやデザインの商標登録などだそうです。社屋などは借り物であっても人材育成に励むならば必ず成長していくそうです。

関西を起点に大きく成長した総合スーパーの1号店が大阪市内にあるというので、学生時代に見学に行ったことがあります。私のイメージでは華やかなショッピングセンターだったのですが、1号店は古い建物で、設備も旧式でした。しかし、店内には大変な活気と熱気がありました。その当時、元気だった創業者の意向で、どんなにチェーン店が大きくなっても1号店はそのままにしていく、原点を忘れないためだったということです。

「愛する者たちよ。あなたがたにお勧めします。旅人であり寄留者であるあなたがたは、たましいに戦いをいどむ肉の欲を遠ざけなさい」(Ⅰペテロ2:11)

聖人と呼ばれた人々は、強い信念は持っていましたが、実生活においては、余計な物は持たず「シンプルライフ」を送っていました。例えば、マザー・テレサが亡くなったとき、遺品として残されたのは質素なサリーとサンダルだけだったといわれます。「持ち物の誇り」から解放されると、とても大切なことが見えてくるのではないかと思います。

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◇

穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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