27日の夜に行われた欧州連合(EU)の将来をめぐる議論において、聴衆とパネリストが激しくぶつかる中で、イスラム教とヨーロッパの独自性の関係が論題の大勢を占めた。
シンクタンク「Theos」が主催したこの討論は、「A soul for the union(連合にとっての本質)」と題する報告書の発表と関連し、ヨーロッパがどのような姿になるべきかという点に焦点を当てて行われた。著者のベン・ライアン氏は、EUが生き残るためには「本質を発見」しなければならないと論じた。
ライアン氏によると、EUは経済界の一部として存在するよりも、むしろ「固有のアイデンティティーと道徳的使命」を持たなければならないという。
信仰とヨーロッパの独自性に関する疑問は物議を醸すものだが、福音連盟の権利擁護部長デイブ・ランドラム博士は、ヨーロッパがもともとのキリスト教のアイデンティティーを捨てて生き残ることは可能なのかと尋ねた。質疑応答でランドラム博士は、ヨーロッパが当初は非イスラム教圏だったと述べた。
作家で英ガーディアン紙の宗教記事の編集者を務めるアンドリュー・ブラウン氏やほかの多くの聴衆が、この発言に異議を唱えた。「デイブ・ランドラム博士が、ヨーロッパがイスラム教徒を排除したものと定義したのは非常に特異なことです」と、ブラウン氏はツイッターに投稿した。
しかし、ランドラム博士は自身のコメントを擁護し、ヨーロッパの固有性を形成したのは「明らかにキリスト教」だったと主張した。
ランドラム博士は討論の後、取材に対し、「ヨーロッパの人々が、何らかの形でそのキリスト教によるアイデンティティーを理解しなければ、歴史の流れに反して突き進んでいるのでいつかは挫折するでしょう」と述べた。「EUは自身のアイデンティティーから離れました。もしEUがその根源的なアイデンティティーを維持しないなら、一致して前進することはできないでしょう」
ブラウン氏にもコメントを求めたが、回答はなかった。しかし、ライアン氏は取材に対し、ランドラム博士は「ある意味では正しいです」と述べた。
「それは、あなたがヨーロッパ人であることの意味をどう理解しているかによります。何がヨーロッパを理性的な場所として定義するでしょうか。それは着想です。そういった着想は、歴史的に見て常に、ギリシャ哲学とキリスト教の混合です。それがヨーロッパの歴史で、決してそこから離れていくことはありません。ほかの民族が参加できるとしてもです」
著名人のパネリストには、元自由民主党党首サイモン・ヒューズ卿、EU統合に反対する「ブルージュ・グループ」の調査部長ヘレン・サミュエリ博士などがいた。パネリストたちは、来るべきEU脱退についての国民投票を控え、それにまつわる国家主権とEUの存在意義などのさまざまな点について議論した。
EU加盟継続派の先鋒でもあるヒューズ卿は、「私は全ての人を等しく愛する寛大な神を信じていますから、自己中心であるべきではないと考えます。EUと共に、より緊密に働くべきだと強く思っています。私たちは主権を失っておらず、共有しているだけです。現に、これは主権の発展です」と語った。
しかし、「民主同盟プロジェクト(Project for Democratic Union)」の創立者ブレンダン・シムズ教授はさらに深く言及し、「一つの単立の国家」が唯一の現実的な解決だと語った。シムズ教授は「EUはヨーロッパ大陸全体に対し深い思い入れを示しています」と語り、文化的な違いがあるからこそ一つの超大国が絶対不可欠になると述べた。
サミュエリ博士はさらに懐疑的で、博士の展望は「個々の国家のネットワーク」だと話した。博士はまた、大きな中央集権政府では、自由があり得ないと論じた。
英国がEUへの加盟を継続するか、それとも脱退するかについては多くの観点が表された。それは、この議論の複雑な性質と、どちらの意見にも一貫性を持たせることが困難なことを反映している。