ギリシャの長老改革派の教団であるギリシャ福音教会が、世界中のキリスト教徒に対して、経済破綻を回避するために苦闘しているギリシャのために祈るよう呼び掛けている。
ギリシャで最も長い歴史を持つプロテスタント教会であるギリシャ福音教会は、英国福音同盟の公式サイトに公開書簡を掲載し、「ギリシャには多くの祈りが必要です。将来は平穏ではないでしょう。ギリシャのために祈っていただけませんか」と求めた。
この公開書簡は、ドイツ連邦議会が17日、欧州連合(EU)のギリシャに対する最大860億ユーロ(約11兆7000億円)規模の財政支援の交渉入りを賛成多数で可決したその前日に掲載された。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ドイツがこの財政支援計画を支持しなければ、「混乱が予測される」と警告していた。
ギリシャ福音教会のマレティオス・メレティアディス牧師は、英国の福音派のコミュニティーに宛てたこの公開書簡で祈りを要請し、ギリシャの福音派コミュニティー内で分裂の危機が起きていると述べた。
国の経済政策や不可解なほどの莫大な額の負債によって引き起こされている災難に、ギリシャ国民は強制的かつ悲劇的に直面せざるを得ない、とメレティアディス牧師は述べている。
メレティアディス牧師は、今年1月のギリシャ総選挙で誕生した新政権、国際通貨基金(IMF)、EUの間での5カ月間にわたる緊迫した交渉の後、特にIMFに対する債務16億ユーロ(約2160億円)の返済期限が迫る6月末が近づくにつれ、多くの人々がこの6年間にわたってギリシャを最も苦しめてきた厳しい試練が全て終わると期待していたとつづった。
しかし6月末、ギリシャはIMFへの返済を行えず、事実上の債務不履行(デフォルト)状態となり、さらにEUとの交渉も決裂した。その後、ギリシャのアレクシス・チプラス首相は、EUが求める財政緊縮策を問う国民投票の実施を決めた。
国民投票の実施が決定したときは、まるでサッカーの試合のキックオフのようだったとメレティアディス牧師は話す。ギリシャ国内のプロテスタント教会は、この国家的危機から火の粉を免れることができず、すぐに分裂に陥った。
数年にわたって緊縮政策下の生活を強いられ、賃金や年金のカット、増税や解雇などの社会問題に対する怒りを爆発させるいい機会と捉える者もいた。また逆に、これらの事態を信じることができない者もいた。
「首相が交渉は良い結果に終わると約束していたこともあり、彼らは心が冷え、裏切られたように感じたのです。そして、(国民投票で)反対票が勝った後に何が起こるか恐れていました。プロテスタントの多くの人はその不満を自分自身の中にとどめていましたが、不幸にもごく少数の人がフェイスブック上で争いを始めてしまい、それを見ていた世界中の人々が、相手方に対する強い感情や侮辱的なレッテル張りを含めた福音派内での争いを目撃することになってしまいました。週が進み、国民投票の日が来ると、ただのレトリックだけの論争になってしまいました」
福音派以外の集団の中でもあるような、繕い癒やし難い亀裂が福音派のコミュニティー内にできてしまったと、メレティアディス牧師は語った。
「そのような態度によって、毎日神の言葉を読み、全能の神に信頼する新生したと主張する福音派と、主イエス・キリストに何の個人的信仰も置かない人々の間に何の違いがあるのかと、人々は不思議に思います。行動に何の違いもないからです」
メレティアディス牧師は、争っている福音派の信者と教会全体に対し、祈りと断食をすること、また煽動的で人を傷つけるような言葉から離れるよう求めた。
「私たちは彼らに、今週は国のために、国家の一致のために、また多くの人が不要だと思っている国民投票の中でも神の意志がなされるように一心に祈るよう頼みました」
ギリシャ福音教会だけではなく、同国内の他の単立のプロテスタント教会も、祈りと断食を呼び掛けたという。
「国民投票の日から、多くが変わりました。国民投票は反対票が多数でしたが、数日後には現実からのプレッシャーを受け、政府は協定に署名せざるを得なくなりました。今やEUに抵抗した結果として格別厳しい生活が待っています」
ギリシャ福音教会は祈りの課題として、一致のため、若者のため、国家全体のため、またギリシャで最も多数派となっているギリシャ正教会のためなどを挙げている。