押し花制作会社「フラワーライフ」(東京都渋谷区)社長の村田多恵子容疑者と(58)、従業員の瀧山佳代容疑者が、押し花のレンタル事業への出資名目で金をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕された。全国の約2000人から、計60億円近くを集めていたとみられている。東京新聞や朝日新聞などが伝えた。
両紙によると、フラワーライフは、契約先の企業に押し花を貸し出すレンタル事業をしていると説明し、パートナーを募集。参加者には3年間、「サポート料」を毎月振り込むとし、最初に支払った金額に大幅に上乗せされた利益が配当されるなどと説明していた。
しかし、朝日新聞によると、実際にレンタルする押し花も、レンタル先の企業もなかったという。東京新聞によると、2007年からフラワーライフはパートナーの募集を始め、当初はサポート料を支払っていたが、14年春以降は出資者への返還が滞っていたという。
フラワーライフ側の代理人弁護士は東京新聞の取材に応じ、「資金を返還するつもりで関連会社の事業を続けてきたが、事業継続が困難な状況になっている」と説明している。
朝日新聞によると、フラワーライフは事業開始後数年で自転車操業になったとみられるが、その後も同様の手法で40億円以上を集金。14年春に返還が滞るようになると、支払いを求める民事訴訟が東京や名古屋、大阪、福岡などで相次いだという。
50代の被害女性は日本テレビの取材に応じ、「お花で収入が得られるなら、趣味も兼ねて、将来定年もなくできるかなと。一生続けられる女性の仕事として、みなさん夢を持って始められる方が多い。私を含めてですが。その気持ちを裏切られた感じです」と話している。
今回の逮捕容疑は、フラワーライフの押し花レンタル事業に出資した3人に対し、確実に利益が得られると話しながらも、12〜14年に出資金計9000万円を返還せず、だまし取った詐欺の疑い。村田容疑者と瀧山容疑者はともに容疑を否認している。
フラワーライフのホームページによると、1989年設立、資本金4000万円。田村容疑者の説明には、「九州造形短期大学卒。美術展に入選多数。押し花の世界に魅了され、押し花作家の柳芙美子氏に師事。プレストブーケ制作1万点以上、押し花制作指導は10万点を超える。アメリカや韓国、イタリアにも進出し、国際的なスケールでプロのプレストフラワー・アーティストを育成している」とある。