所沢に住む人々に本当のクリスマスの意味を知ってもらいたいと、第23回「所沢市民クリスマス・チャリティコンサート」(所沢市民クリスマス実行委員会主催)が11日、所沢市民文化センターミューズ・アークホール(埼玉県所沢市)で開催された。実行委員会は、所沢市内の21のキリスト教会やキリスト教系団体が中心となっている。会場には600人以上の観客が集まり、米ロサンゼルスを拠点に活動するゴスペルシンガーのレイ・シドニーさん、ボーカリストのMANNA(入江真奈)さん率いる「MANNA&IRIE AMIGOS」らゲストのステージを楽しんだ。
所沢市は、あらゆる世代の市民や市内を訪れる人々に、うるおいと安らぎ、そして活力を与える「音楽のあるまちづくり」(「音まち」)を推進している。このコンサートは、「音まち」にふさわしい音楽行事として、市からの推奨を受けている。23回目となる今回のコンサートには、同市のイメージマスコット「トコろん」も初めて参加した。開演の時間になると、総合司会を務める子どもタレントのMeguちゃんが、トコろんと共に舞台に現れた。トコろんのゆっくりとした動きと、優しく手を引くMeguちゃんの姿に、「かわいいね」と、観客の顔は自然とほころんだ。
1組目のゲストは、所沢市内の教会に通うゴスペルディレクターのMANNAさんと、その夫でピアニストの入江新一郎氏らIRIE AMIGOSのメンバー。ベースの西島健司氏、ドラムの岩瀬立衛氏に加え、トランペット、サックス、トロンボーンといったさまざまな楽器が登場し、サンバのリズムにアレンジされた賛美歌「Precious Lord take my hands」、チャチャチャのリズムのクリスマスソング「Winter wonder land」など、ノリの良いリズミカルな演奏を披露した。また、MANNAさんと共に、クリスマスカラーの衣装を身に着けたキッズクワイアの子どもたちがステージに上がり、ダンスに合わせてのびのびとした元気な歌声を会場に届けた。
2組目のゲストは、米国からやってきたブラックゴスペルシンガーのレイ・シドニーさん。MANNAさんとコラボで「Oh Holy Night」を歌い上げると、観客から大きな拍手が湧いた。シドニーさんは、「ゴスペルというのは、良き知らせ(=福音)という意味です。福音は希望であり、喜びであり、愛です。今日の世界に必要なものです。世界は悲しいニュースで溢れていますが、私たちに希望と喜びと愛を与えてくださる神が、私たち一人一人と共にいてくださるという励ましがあります。私が日本に来るのは、日本でゴスペルを教えるようにとの使命を、神によって与えられており、人々に福音を知らせたいと願っているからです」と話した。神をほめたたえるとき、私たちにも祝福が与えられる。だからこそ、ゴスペルを歌うときには、手をたたき、踊り、足を踏み鳴らして楽しむことが大切だと呼び掛けた。バックコーラスに「ハレルヤゴスペルファミリー」を迎えて「This is the day」を披露すると、会場は盛り上がった。総立ちになった観客と共に、「アーメンコーラス」を大合唱した。
「ブラックゴスペルは音楽のジャンルの一種だが、大事なのは何を伝えているか。歌詞が伝えるメッセージに、力と希望がある」と語るシドニーさんは、日本で出会ったという曲「君は愛されるため生まれた」をオリジナルアレンジで披露し、クリスマスに現れた神の愛を伝えた。コンサートのラストには、ステージに出演者全員が勢ぞろいし、有名なゴスペル「Oh Happy Day」をコーラスで披露。会場は最高潮に達した。幕が引いた後も、しばらくの間アンコールが鳴りやまず、最後は会場全体で「きよしこの夜」を歌い、コンサートは閉幕した。
会場の入り口付近では、福島県の特産物の販売ブースや、教会のクリスマスグッズ販売ブースが設けられ、コンサート終了後も多くの人で賑わいを見せた。所沢を中心に活躍するMeguちゃんやトコろんも大人気で、一緒に写真を撮ろうとする子ども連れの来場者たちに囲まれていた。
コンサートでは、チャリティーイベントとしての工夫や配慮がいたるところで感じられた。チケットの売り上げが所沢市の福祉関連団体と東日本大震災支援のために寄付されるのはもちろんのこと、会場の舞台に飾られていた真っ赤なポインセチアの鉢も観客に販売され、収益の一部に充てられるという。また、コンサートには福祉施設の人々が招待され、要約筆記、手話通訳が行われた。すべての人が楽しめる、クリスマスの温かさに溢れたコンサートとなった。