米タイム誌は9日、毎年恒例の「今年の人(Person of the Year)」にドイツのアンゲラ・メルケル首相(61)を選んだ。混迷する経済やシリアなどからの難民流入、テロの恐怖などの問題に直面する欧州で、「開かれたボーダーレスな欧州の維持、促進に貢献」と評価した。表紙では「ドイツの首相」ではなく、「自由な世界の首相」と称えた。
タイム誌の「今年の人」に女性が単独で選ばれるのは、1986年にフィリピン初の女性大統領に就任したコラソン・アキノ第11代大統領(1933〜2009)が同年に選ばれて以来29年ぶりとなった。また、女性単独で「今年の人」に選ばれたのは他に、1936年の元英国王エドワード8世の妻、ウォリス・シンプソン夫人(1896〜1986)、1952年の英女王エリザベス2世(89)の2人だけで、メルケル首相は史上4人目となった。
一方、2015年の「今年の人」の候補者には、2位に過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者、アブバクル・バグダディ容疑者(44)、3位に米次期大統領候補者の一人である実業家のドナルド・トランプ氏(69)、4位に米国で広がった黒人の人権擁護運動「黒人の命は大切だ(Black Lives Matter)」に関わった人々、5位にイランのハサン・ロウハニ大統領(67)、6位にスマートフォンを使ったハイヤー配車サービス「ウーバー(Uber)」を創業した米起業家のトラビス・カラニック氏(39)、7位に米元陸上選手で、今年性同一性障害を告白し女性名に改名したケイトリン・ジェンナー氏(旧名:ブルース・ジェンナー、66)が選ばれた。