米ミズーリ大学のティム・ウルフ学長(57)が9日、辞任を表明した。学内で黒人学生に対する人種差別があったとして、学生らが抗議し、強豪として知られる同大のアメリカンフットボールチームに所属する黒人学生数十人が、学長の辞任を求めてボイコット宣言。これにより全米で一気に関心が集まり、辞任に追い込まれた。
混乱は9月、学生団体トップの黒人学生が、白人とみられる学生から暴言を浴びせられたことで始まった。その後、大学側の対応が不十分だとし、学生の間でハンガーストライキなどによる抗議運動が広がった。さらに今月に入り、同大のアメリカンフットボールチームに所属する学生約30人が、学長の辞任を求めて活動をボイコットすると宣言するまでの事態になっていた。
時事通信によると、同大のアメリカンフットボールチームは14日に試合を控えており、試合が中止になれば、同大は100万ドル(約1億2000万円)の払い戻し義務が生じるところだったという。米CNNによると、同大のアメリカンフットボールチームは学長辞任を受け、10日にも活動を再開するという。
同大があるミズーリ州では昨年8月、北東部の町ファーガソンで、白人警官(28)が丸腰の黒人青年(当時18)を射殺する事件が発生し、全米規模の抗議運動に発展した。