いくつかの良さそうな宗教の良い点を集め、逆に欠点は取り除く、そんな宗教が一番いいんだ。
これは、宗教の実際面(運用)と教理の良しあしを混同した議論です。どんな偉大な宗教も、信徒の心得違いによって“失敗”や“悪しき事例”が出てくるものです。長い時代を経ていると、時には間違った解釈や路線をとることがないとは言えません。それはしかし、必ずしも教理が悪いからそうなったというものではありません。運用する側の問題である場合があるのです。
そのような点に目を付け、例えば、「生長の家」では、仏教のこの教えとキリスト教のあの教えと別の宗教のある教えとを持ってきて、一つの宗教にしているようです。「幸福の科学」もそうでしょうか。しかし、それはモザイク宗教、継ぎはぎ宗教です。モザイク宗教、継ぎはぎ宗教の根本的問題点は、そのようにモザイクにしたり、継ぎはぎにするのが人間であるということ、人間の頭脳であるということです。つまり、それは、人造宗教であると言わねばなりません。
そのようなものは、どこかに基本的な、致命的な問題を抱えており、長い間に問題が出てくるものです。今まで数え切れないほど、多くの宗教が生まれては消え、消えては生まれてきました。そのように、人造宗教はいずれ消え、長くて2、300年もすれば確実に消えるでしょう。ですから、そのようなものに自分の人生を託することはよほど考えねばなりません。
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正木弥(まさき・や)
1943年生まれ。香川県高松市出身。京都大学卒。17歳で信仰、40歳で召命を受け、48歳で公務員を辞め、単立恵みの森キリスト教会牧師となる。現在、アイオーンキリスト教会を開拓中。著書に『ザグロスの高原を行く』『創造論と進化論 〜覚え書〜 古い地球説から』『仏教に魂を託せるか』『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書』(ビブリア書房)など。
【正木弥著書】
『なにゆえキリストの道なのか 〜ぶしつけな240の質問に答える〜 増補版』
『仏教に魂を託せるか 〜その全体像から見た問題点〜 改訂版』
『ザグロスの高原を行く イザヤによるクル王の遺産』(イーグレープ)