旭化成建材による杭(くい)打ちデータ流用問題で、親会社である旭化成は13日、旭化成建材による杭打ち工事全3040件に関する調査で、13日までに確認が取れた2376件の調査結果を発表した。発表によると、266件でデータの流用などが確認され、優先的に調査した学校、医療・福祉施設については602件のうち63件でデータの流用などが確認された。
調査は、国土交通省の指示に基づき、元請建設会社と情報提供を要請した自治体と協力して行われた。一方、住所不明などで元請建設会社と連絡が取れない物件については、物件所在地に直接訪れ、施主を通じて元請建設会社の連絡先などを確認するなどしており、13日時点で元請建設会社への調査依頼が完了した物件は2922件だという。元請建設会社が不明であったり、施工データが存在しないなどの不明物件は118件。
杭打ちデータの流用などが確認された物件は、都道府県別では件数が多い順に、東京都(データ流用判明51件、うち学校・医療福祉施設16件、以下同じ)、神奈川県(30件、7件)、北海道(26件、9件)、埼玉県(26件、6件)、千葉県(23件、5件)、愛知県(21件、6件)など、37都道府県に及んだ。
物件のタイプ別では、工場・倉庫(データ流用判明66件、以下同じ)、集合住宅(61件)、医療・福祉施設(35件)、学校(28件)、事務所(20件)、公共施設(15件)、商業施設(9件)、土木(3件)、その他(29件)だった。
データの流用などが確認された物件について旭化成は、元請建設会社と施主による建物の安全性確認に協力するとし、建築基準法が定める特定行政庁(市町村長または都道府県知事)で安全性が確認できた物件に関しては、特定行政庁から国土交通省に報告することになるという。
今後は、確認中の物件の確認作業を早急に進め、今月24日までに国土交通省へ報告し、不明物件118件についても調査を継続する。また、データの流用などが起こった背景と動機については、社内の調査委員会が外部調査委員会の指導と助言を得ながら徹底究明し、適切な是正策を講じるとしている。
旭化成建材による杭打ち工事全3040件に関する調査結果(11月13日発表)はこちら。