埼玉県民共済生活共同組合の100%出資会社である株式会社県民共済住宅(さいたま市)は11日、同社が建築した木造戸建て住宅で、壁面の強度に不足がある住宅があることが確認されたと発表した。この問題発覚を受け、県民共済住宅は、フリーダイヤルの専用窓口(0120・125・825、午前8時〜午後8時)を設置したほか、建築士や弁護士からなる第三者委員会を設置して、管理体制の検証などを行い、再発防止に取り組むとしている。
明らかになったのは、壁を補強する「筋交い」の本数の不足。県民共済住宅の発表によると、筋交いの不足が発生したのは、CAD(コンピューター設計システム)の画面上に表示された計算結果を見逃すなど、確認不足が原因だという。県民共済住宅は、「設計時におけるチェック体制が十分でなかったと考えております」としている。
地元の埼玉新聞によると、県民共済住宅が建築した木造戸建て住宅計12棟(東京都3棟、埼玉県3棟、千葉県3棟、茨城県2棟、栃木県1棟)で、筋交いの本数が建築基準法の基準を満たしていなかったという。筋交いは、8棟で1本、1棟で2本、1棟で3本、1棟で6本不足していた。
今回、筋交いの不足が明らかになったのは、1993年〜2013年までに建築した住宅のうち約2800棟を調査した結果で、まだ約2万2000棟の調査が残っているという。県民共済住宅は、来年1月までにこれらの住宅の調査も終わらせる予定としている。
同紙によると、県民共済住宅は、筋交いの不足で住宅がすぐに倒壊するとは考えにくいとしている。
最近の旭化成建材によるマンションの建築データ流用問題で、住人から不安の声が寄せられ調査をした結果、筋交いの不足が明らかになった。県民共済住宅は、「壁量の不足が確認された住宅については、直ちにお客様に連絡をとり、行政の指導のもとお客様と補修についてご相談しながら、補修の工事をさせていただきます」としている。