著書『「邪馬台国」はなかった』などで知られる古代史研究家の古田武彦(ふるた・たけひこ)氏が14日、京都市内の病院で亡くなった。89歳。本人の意向で葬儀は行われず、近親者のみでお別れ会を開くという。
古田武彦氏は、専門は親鸞などの中世思想史だが、『魏志倭人伝』にある国の名を「邪馬台国」ではなく、原文通りの「邪馬壹(いち)国」が正しい表記だなどと指摘。九州王朝説をはじめ、日本列島各地に王権が存在したとする「多元的古代史観」などを提唱した。古田武彦氏の邪馬台国をめぐる仮説などは、他分野の研究者や一般読者の間には賛同者・支持者も多く、「古田史学と古代史を研究する会」なども存在する。
1926(大正15)年、福島県生まれ。英語教師であった父の転勤により、広島で育つ。1945年、東北帝国大学(現東北大学)法文学部入学。大学卒業後は高校の教員として、長野県松本市や神戸市、京都市の高校で国語、社会を教えた。84〜96年、昭和薬科大学教授。史学会、日本思想史学会、学士会会員。