長崎県諫早市で2001年に発生した女児(当時7)の殺人事件で、加害者の吉岡達夫受刑者(37)が賠償金を未払いだとして、来年1月、時効により賠償金の支払い命令が無効になる前に、同額の賠償を求める訴訟を遺族が福岡地裁に起こした。遺族が賠償金の未払いを理由に訴訟を起こすのは珍しいという。朝日新聞などが伝えた。
この殺人事件は01年10月、長崎県諫早市で発生。当時7歳だった女児が下校途中、自宅から約500メートル離れた交差点で同級生と別れた後、行方不明になり、2日後に自宅から約6キロ離れた林道わきの斜面で遺体で発見された。長崎県警による捜査が続く中、事件発生から2週間後に吉岡受刑者(当時23)が出頭した。
02年9月に無期懲役が確定。遺族は、吉岡受刑者とその両親に対し、約1億8千万円の損害賠償訴訟を起こしたが、長崎地裁は05年12月、吉岡受刑者のみに約7千万円の支払いを命じ、翌年1月に確定した。しかし報道によると、吉岡受刑者はこれまで一度も支払いや謝罪をしていないという。
朝日新聞によると、民法の規定上、賠償金の支払い命令は10年で失効するため、遺族は同様の内容で再提訴。常磐大学国際被害者学研究所の諸沢英道教授は同紙に対し、賠償金が支払われないケースは少なくないが、遺族が再提訴するのは珍しいなどと話した。