妻に対して、殴るなどのドメスティックバイオレンス(DV)をしたとして、傷害容疑で逮捕されていた作家・冲方丁(うぶかた・とう、本名・藤野峰男)さん(38)について、東京地検は15日、不起訴処分にしたと発表した。国内主要紙が伝えた。
冲方丁さんは8月21日夜、東京都内のマンション敷地内で、別居中の妻と口論になり、顔を殴ってけがを負わせるなど、DVをした疑いで警視庁が逮捕。その後、同31日に処分保留で釈放されていた。朝日新聞によると、東京地検は不起訴にした理由について、「夫婦間で問題は解決されており、妻も処罰を望んでいないため」と説明している。
逮捕時の報道では、冲方丁さんは、口論になったものの殴ってはいないとDVを否定していた。釈放後には自身のブログに報告を掲載。「世間をお騒がせし、また各方面に多大なご迷惑をおかけしてしまい、心よりお詫び申し上げます。全て己の不徳の致すところであり、反省の念に堪えません」などと謝罪していた。一方、「私の主張は、当初の報道より変わりありません」と述べ、DVは改めて否定していた。
また今月13日には、冬期新連載の予定として「冲方丁の留置所日記(仮)」を発表。掲載誌は後日発表するとしていた。
冲方丁さんは、早稲田大学在学中の1996年に『黒い季節』で角川スニーカー大賞を受賞し、小説家としてデビュー。2009年に出版した『天地明察』で、吉川英治文学新人賞、本屋大賞などを受賞し、第143回直木賞にもノミネートされた。