【CJC=東京】ドイツのアンゲラ・メルケル首相が4日、ハンガリーで足止めされていた中東・北アフリカからの難民や移民数千人の受け入れを決定した。これに対し、同国内外で称賛の声が挙がる一方、批判も噴出、メルケル首相が困難に見舞われる事態も起きそうだ。
ドイツ南部バイエルン州のヨアヒム・ヘルマン内相は5日、公共テレビで、メルケル氏の決定は「欧州に完全に誤ったシグナルを送るもので、是正されなければならない」と不満を表明した。最大与党、キリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党で、同州与党のキリスト教社会同盟(CSU)は、同決定を誤りだとしている。
ドイツやフランス、英国の反移民を唱える政治家も、メルケル首相の決定は欧州を目指す難民を増やすと非難するとともに、欧州の他の国にも難民の受け入れを迫るドイツの姿勢に反発している。
ドイツ政府は、今回の措置は1回限りのものと繰り返し強調している。しかしハンガリーのオルバン・ビクトル首相は、難民に優しいドイツの移民政策と福祉制度のせいで、西欧に向かう難民が増加していると批判し、欧州の難民問題は「ドイツの問題だ」と指摘した。