子育て中の母親たちが中心となって結成された「安保関連法案に反対するママの会」が26日、東京・渋谷駅前で「だれの子どももころさせない!」と悲痛な叫び声を上げ、27日から参議院で審議が始まる安保法案への反対を訴えた。
真夏の太陽が容赦なく照り付ける中、渋谷駅前に集まったのは、全国の子育て中の「ママ」を中心に約2000人。中には、ベビーカーを押しながら声を上げる母親や、小さな子どもの手をしっかりとつないでデモに参加する母親の姿もあった。
同会が発足したのは今月5日。発起人で3児の母でもある西郷南海子さん(27)を中心に、SNSなどを通して呼び掛け、現在までに賛同者は1万7000人を超えた。各地域での絆をより強めようと立ち上げられた「ママの会@神奈川」「ママの会@千葉」などの地域別の会は、29都道府県に上っている。
街宣車に上がった「ママ」たちは、「このような場所で話すのは初めてで、大変緊張しています」と話しながらも、しなやかでたくましい母親の叫び声を渋谷駅前に響かせた。代表の西郷さんは、「私たちには、お金も権力もない。しかし、全国から『だれの子どももころさせない』を合言葉に集まった仲間と共に、どんな嵐でもつぶされない『草の根』になりたいと思う。その『草の根』を横に広く張って、この法案を廃案へ追い込みたい」と力強く語った。
千葉県から来たという母親は、「一度きりの人生だから、自分の大切な人と共にずっと平和な日本で暮らしていきたい。子どもたちと一緒に、平和な戦後80年、90年、100年を迎えたいのです」と話した。
駅前で最後にスピーチを行ったのは、この日のために福岡から駆け付けたという母親。「ぼくは、将来、フランス料理のシェフになりたいです。でも、ぼくの夢は本当にかなうのでしょうか? 国の偉い人たちは、日本が戦争をする法律を決めようとしていると聞きました。ぼくは、戦争に行きたくありません。大人の皆さん、どうかぼくたちを守ってください」という、8歳の息子から預かってきたというメッセージを涙ながらに読み上げ、「8歳の子どもにこんなことを言わせる安倍政権を私は許せない! どうか皆さん、子どもたちを守ってください。お願いします!」と訴えた。
スピーチの後、駅から歩いて5分ほどの宮下公園に移動し、デモ行進の準備を行った。「暑いので、小さな子どもたちの水分補給をしっかりお願いします」「気分が少しでも悪かったら、列から離れて休んでください」などの声が公園内に響いた。小さな子どもを持つ母親同士が、冷たいタオルを貸し借りしたり、飲み物を分け合ったりする姿も。「だれの子どももころさせない」を合言葉に、「草の根」がゆっくりと心地よいスピードで広がっていくのを感じた。
デモ行進は宮下公園を出発し、約1時間、渋谷駅周辺を「戦争させない!」「子どもを守る!」「ママは戦争しないと決めた!」など声を合わせながら練り歩いた。
デモに参加したクリスチャンの女性は、「日本は、憲法9条があるから世界で信頼されてきたのに、なぜその看板を自ら投げ捨てることをするのでしょうか。『平和を愛する人は、幸いなり』とは、言うまでもありません。御言葉に従うなら、この法案には『反対』しか選択肢はなかった。平和を願う全ての人が手をつなぐことで、必ず廃案へ追い込むことができる。サラの願いも、ハンナの願いも聞いてくださった主に期待し祈ります」と話した。
戦後70年の夏。学生たちが立ち上がり、ママたちも立ち上がり、安保法案反対の声を上げている。この国に、神の守りがとこしえにあるように祈ってやまない。