「NGOゴスペル広場」代表のジェンナさんと、米国出身のプロデューサー、ジェット・エドワーズさんのプロデュースによる「JAPAN MASS CHOIR」(JMC)が、今年3月に総勢1000人のクワイヤでレコーディングしたオリジナルCD『Powerful: Living In His Body As One』が、米ビルボードのゴスペル・アルバム部門で3位にランクインする快挙を果たした。
CDはまだ一般流通していないものの、既に一部のルートで米国の小売店に置かれており、2週間前にビルボード初登場7位を記録。そして、今週見事3位にランクインした。日本発のゴスペル作品がビルボードにチャートインするのは今回が初めてで、全米の各州から数百枚単位でCDの注文が入っているという。日本での発売は8月上旬を予定している。
この知らせを受けて、ジェンナさんは、「憧れの大物アーティストたちと並んで『Japan Mass Choir』の文字を見たときには体が震えました。まだ実感が湧かず、夢を見ているようです」と感動を隠せない様子。JMCは、オリジナルCDを米国でリリースし、ビルボードへのチャートインを目指して立ち上げられた。今年3月、青山学院講堂(東京都渋谷区)に、約1000人が日本各地から集結し、2日間にわたるレコーディングとプロモーションビデオの撮影を行った。「1000人を集めてレコーディングするというだけでも途方もない企画でしたが、目標はなんと、ビルボード・チャートイン。きっと多くの人が半信半疑だったと思います。私はこのプロジェクトを通じて、『信じ抜くこと』の大切さを学びました」とジェンナさんはこれまでを振り返る。
JMCは今月、米ノースカロライナ州へのツアーを行った。約40人のメンバーが参加し、全10公演を終えて21日に帰国。さまざまな教会で歌い、現地の著名なアーティストたちと共演する機会に恵まれた。黒人系、白人系、メキシコ系の各教会を訪れ、肌の色の違いを越えて一つになって、力強くゴスペルを歌った。各会場には「Welcome! Japan Mass Choir」などと書かれた看板が掲げられ、地元の新聞にも大きく取り上げられた。
浴衣を着てステージに上がったり、折り紙を使ったりするなど、日本文化を通じて交流を図った。メンバーが何度もステージで「おじぎ」をするので、それを真似して、観客がおじぎをし返すという場面もあったそうだ。JMCのオリジナル曲に、多くの人が立ち上がって歓声を上げ、涙を流す姿を見て、日本人によるゴスペルが認められた瞬間を肌で感じることができたとジェンナさんは話す。
「私たちには、黒人と同じような力強さはないかもしれませんが、日本人だからこその温かさやチームワークの良さ、人懐こさが大いに伝わったツアーになったように思います。そんな私たちのゴスペルから、現地の人たちも何かを学んでくれたようでした」
日本では、ゴスペルがブームになって約20年がたつ。日本のゴスペルシーンがさらに発展するためには、米国の歌を輸入して歌うことが多かったこれまでとは違って、日本のアーティストが、日本発のゴスペルを海外へ発信していく流れを作っていく必要があるとジェンナさんは考えている。
今回のツアーを大成功のうちに終え、目標のビルボード・チャートインも果たしたJMCには、既に来年のオファーが各地から殺到しているという。ジェンナさんは、「本場米国のゴスペルシーンの中に、日本人として関わっていけるこれからの未来が本当に楽しみです」と、喜びと期待を込めて話した。
JMCの公式サイトはこちら。