日本のゴスペルクワイヤを米国のビルボードチャートにランクインさせるプロジェクト「JAPAN MASS CHOIR」がついに始動。5日から参加者の一般募集を開始した。
このプロジェクトは、米国出身のプロデューサー、ジェット・エドワーズさんと「NGOゴスペル広場」のジェンナさんのプロデュースで行われるもので、1000人でレコーディングしたオリジナルCDを全米でリリースし、ビルボードチャートインを目指す企画。12歳以上であれば経験などは一切問われない。指定クワイヤ枠と一般枠を設けているが、すでに800人もの応募があるという。3月15日に青山学院大学で行うレコーディングまでに、公開練習なども行われる。
「ずっとこのようなプロジェクトをやりたいという思いはありました」と、ジェットさんとジェンナさん。ジェットさんは、長年音楽業界に携わってきた。ベーシストとして共演したのはエルトン・ジョンやポール・マッカートニー、プロデューサーとしてはジャネット・ジャクソンやダイアナ・ロスなど、トップアーティストたちを手掛けてきた。また、自身でビルボードチャートTOP3に入ったこともある実力派。「以前からゴスペルという音楽で、『ゴスペルとは何か、その背景にある力は何か』を伝える活動をしたいと思っていた」と語る。
一方、ジェンナさんは現在メンバー総数約2000人、全国21拠点あるゴスペルクラブ「NGOゴスペル広場」の代表を務め、日本におけるゴスペルの普及に尽力している。ジェットさんは最初、「ゴスペルクラブと聞いて、『クラブ? ゴスペルがクラブとはなんだ!』と思いました」と言う。「『自分たちの民族の血と汗と涙の結晶といえる音楽を、ただ“楽しむ”ために歌うとは!!!』というある種の湧き上がってくる感情がありました。でも実際心の底から楽しんで歌う人たちを目の当たりにして考えが変わりました」と振り返る。同時にゴスペルを楽しんでいる人たちに、本当のゴスペルの世界観や本当の醍醐味を伝えたいと強く思ったという。
「ゴスペル音楽の中にあるメッセージって誰の心にも響くもの」とジェンナさん。「まずは、クリスチャンであるとかないとか関係なく、ゴスぺルを誰もが自分自身へのメッセージとして歌えるような『敷居の低い』音楽にしていきたいなと思ってこの活動をしてきました」と話す。
「ゴスペルは米国では一部の上手いプロが歌うものではなく、『大衆』音楽ですからね。そんな風に日本でもゴスペルを身近なものとして広めたい。そう思って自分のできる限りのことをやってきましたが、同時に自分一人の力の限界も感じてきました。そんな時期に偶然知り合いました。昨年の春のことです」と、ジェットさんとの出会いを振り返る。
「音楽でのゴスペルとは、神様とのダイレクトなコミュニケーション」だとジェットさんは言う。それをはっきり分かっていなくても、『特別な何か』を感じてくれる人は多い。しかし、それが何なのかを伝えることを、ジェットさんは自分自身の使命と感じているという。現在は大学で教鞭を執り、昨秋には、ゴスペルの起源をテーマにしたワークショップ「The Gospel Truth」も行った。
日本では、ゴスペルは教室や教会などで発展してきた。しかし、現状についてジェンナさんは、「日本ではまだ趣味や習い事の域を出ていません」と言う。本場米国では、ゴスペルは主要な音楽ジャンルの一つとして確立し、他のジャンルと同じくリアルタイムにヒット曲が生み出され、その時代を代表するスターもおり、商業的にも成功している。だが日本では、人種や文化、言語の壁を感じる人も多く、「自分たちが歌っていいのだろうか?」という声もよく聞くという。しかし、「その状況を変えたい」とジェンナさん。「自分たちの曲を出して、日本の人たちが自分たちの文化として堂々と『ゴスペル』を歌い、発信できるようにしていきたい」と熱く語る。
また、ジェットさんは、今回のプロジェクトを通して、クリスチャンミュージックのアーティストを発掘することにつなげたいと言う。「全てはジーザスがやること。だから『自分が何かを成し遂げたい』というのではなく、自分は神様にいただいたギフト(賜物)を使い、神様に託された役割を行うだけ。その結果、日本から発信されるゴスペルがビルボードチャートに入れば、僕たちはみんなで『新しい歴史』を作ることになる。日本出身のゴスペルというジャンルのメジャーアーティストとして、世界に出ていこう。本気でビルボードチャートインを狙いにいくよ!」と意気込みを語った。
「JAPAN MASS CHOIR」の詳細はホームページで。
■「JAPAN MASS CHOIR」プロモーション映像