ゴスペルジャズシンガー・戸坂純子さんのニューアルバム『Time of Love』が、11月5日にリリースされた。今回のアルバムのテーマは、「ゴスペルとジャズ」。クリスチャンであってもそうでなくとも、幅広い層に受け入れられるようなアルバムに仕上がっている。
6年前にクリスチャンになった戸坂さん。2年前のアルバム『YOUR SONGS~美しい世界~』は、「きけやうたごえ」「丘に立てる荒削りの」など、収録曲のほとんどが賛美歌で、クリスチャン向けにリリースされた。
しかし、クリスチャンになる以前からジャズボーカリストとして活動していた戸坂さんの長年のファンは、ほとんどがノンクリスチャン。教会礼拝での特別賛美や、チャペルコンサートを除いては、ジャズクラブなどでのコンサートが多く、お客さんの大半もノンクリスチャン。
クリスチャンだけでなく、全ての人にゴスペルを聞いてほしい。礼拝での特別賛美という、神を共にほめたたえるためのゴスペルだけでなく、伝道につながるゴスペルをも神にささげたい。
一般の曲にはない力がゴスペルにはあることを、戸坂さんは誰よりも体験してきた。今回のアルバムに収録されている「Amazing Grace」「君は愛されるため生まれた」は、戸坂さんが救いに導かれるにあたって、大きなきっかけとなった曲だ。
幼いときから、霊的な世界を敏感に察していた戸坂さんは、8年前のファーストアルバムのレコーディングのころから歌うごとに、白い衣を着た人が現れるのを感じていた。スピリチュアルな知識を聞きかじり、守護霊だと思いこんでいた。しかし、初めて導かれた教会の牧師に「御使いじゃないですか」と一枚の絵画を見せてもらったところ、まさにそこに描かれている人が、戸坂さんが見ていた人と同じ姿をしていたのだ。
また、クリスチャンになった後も、長い間、悪霊の攻撃に苦しめられていたそうだが、「賛美を聞いてください。最初は難しいかもしれませんが、口を開いて賛美を歌うようにしてください」という牧師のアドバイスを実践することで、その苦しみから解放されていったという。
「ポップスや、ジャズの音楽だったら、絶対に解放されなかったでしょう。ゴスペルは、神の言葉でつづられ、神にささげられる曲だからこそ、力がある。ゴスペルの持つ力をノンクリスチャンの人にも知ってほしい」
牧師から「これを歌ってみてはどうですか」と渡された「君は愛されるために生まれた」は、戸坂さんがそれまで聞いてきた音楽にはなかった、心に迫る温かさを感じさせた。自分がこの世界で一番不幸だと思っていたのが一変し、朝起きるごとに、窓を開けるごとに、「おはよう」と挨拶するごとに生きている喜びで胸が躍るようになった。
コンサートでゴスペルを聞き、涙を流すお客さんを見たり、コンサートをきっかけに教会に行き、救われたという証を聞くごとに、戸坂さんはゴスペルに宿る神の存在を感じずにはいられないという。自分の人生が変えられたように、ゴスペルを聞く人々の心に神が語りかけていてくださることを信じつつ、ただ神に向かって歌い続けていきたいと、戸坂さんは語る。
今回のアルバム制作途中には、米サンフランシスコに行く機会が与えられた。戸坂さんが大学卒業後から師事していた細川綾子氏が一昨年クリスチャンになったのだ。戸坂さんとは全く別の経緯で救いに導かれた細川氏と、共に礼拝に臨む恵みにあずかった。
その細川氏を通して、米国でメジャーなゴスペルナンバーを紹介され、「Hallelujah」「He's Got The Whole World In His Hands」の2曲がアルバムに加わった。2曲とも、分かりやすい歌詞をリズムよく繰り返す、誰もが口ずさみやすい曲となっており、チャペルコンサートでも一般のコンサートでもお客さんと一緒に歌えるゴスペルとして用いているそうだ。
ゴスペルの中心にある神の言葉から外れることなく、それでいてジャズ特有のリズムで、どんな人にでも受け入れられやすいような絶妙なバランスでまとめられたこのアルバム。アマゾンの事前予約では一時在庫切れになるほど話題になっている。『Time of Love』のタイトル通り、多くの人がこのアルバムを聞き、神の愛を豊かに感じる時を過ごしてほしいと、戸坂さんは願っている。
戸坂さんのチャペルコンサートなどの問い合わせは、オアシス・ミュージックオフィス(電話:070・5458・0711)まで。