米国のビルボードチャートへのランクインを目指す「JAPAN MASS CHOIR」が14、15日の2日間、青山学院講堂(東京都渋谷区)でレコーディングとプロモーションビデオの撮影を行った。会場になった講堂には、日本中から約1000人が集結。肌寒さの残る3月中旬とは思えない熱気に包まれた。
「JAPAN MASS CHOIR」は、米国出身のプロデューサー、ジェット・エドワーズさんと、「NGOゴスペル広場」代表のジェンナさんのプロデュースで行われるもので、1000人のクワイヤでレコーディングしたオリジナルCDを米国でリリースし、ビルボードチャートインを目指す企画。
「以前からゴスペルという音楽で、『ゴスペルとは何か、その背景にある力は何か』を伝える活動をしたいと思っていた」と語るジェットさん。CDには、ジェットさんとジェンナさんが作った英語のオリジナル曲に、洋楽のカバー曲を加え6曲を収録。うち1曲は日本語で歌う。
日本のゴスペルは少し変わっているとジェンナさんは語る。ゴスペルとは、本来は神がイエス・キリスト(英語発音でジーザス・クライスト)を通して語る「最高の知らせ」という意味。音楽のジャンルでいえば、特に黒人教会で歌われる賛美のことを指す。しかし日本では、ゴスペルといえば、教会以外でも、音楽サークルやゴスペル教室、カルチャーセンターなどで、必ずしも宗教的な意味を含まず発展してきた。
ゴスペルは米国では一部のプロが歌うものではなく、一般人が歌う大衆音楽だとジェンナさんは言う。「クリスチャンであるとかないとか関係なく、ゴスぺルを誰もが自分自身へのメッセージとして歌えるような、身近な音楽にしていきたい」と語る。
一方、ジェットさんは、ジャネット・ジャクソンやダイアナ・ロスなど、トップアーティストたちを手掛けてきたプロのプロデューサーだ。また、自身でビルボードチャートTOP3に入ったことのある実力派ミュージシャンでもある。「日本から発信されるゴスペルがビルボードチャートに入れば、僕たちはみんなで『新しい歴史』を作ることになる」と意気込みを語っていた。
14日のプロモーションビデオ撮影時にも、代表曲となる「POWERFUL」の歌詞を引用し、「さまざまな考え方がある日本のゴスペル。それでも和の精神の国、おもてなしの国。日本だからこそこの企画はできる。必要とされていない人は一人もいない。私たちは一人じゃなく、みんなで集まるからパワフル」と、この企画への思いを共有した。
ジェンナさんは自身のフェイスブックで、「『クリスチャンではない人もゴスペルを歌う』という、その時点で米国人には不思議かもしれません。でも皆同じようにゴスペルが大好きで、ゴスペルをリスペクトして、ゴスペルに心を込めて歌っていると思います。それを米国の人にも見せたい」と思いの丈をぶつける。
収録に参加した「サニーサイド・ゴスペルクラブ立川」のメンバーたちは、「楽しかった。この人数で歌うことはなかなかないので壮観でした」とコメント。「ゴスペルスクエア」に所属する女性は、「いろいろなクワイヤの方と知り合えて良い経験ができました」と語った。ジェンナさんも、「愛や平和を歌う1000人の歌声の力強さと温かさにステージ上で感動しました」と言う。
プロモーションビデオの撮影では、ラジコンヘリを使った空中からの撮影など、クオリティにもとことんこだわったこのプロジェクト。6月下旬~7月上旬にCDを発売する予定で、7月~8月には米国へのプロモーションツアーも予定している。
今月19日には、代々木競技場第2体育館で行われる「ワールド・ドリームピック」にも出演。これが「JAPAN MASS CHOIR」にとっての初ライブとなる。日本のゴスペルが、世界に向けて大きな一歩を踏み出す。この熱い歌声を生で聴きたい人は、ぜひ足を運んでいただきたい。