信徒数85万人の世界最大の教会、汝矣島(ヨイド)純福音教会2代目担当牧師で、韓国基督教総連合会(CCK)代表会長などを務める李永勲(イ・ヨンフン)牧師による待望の日本語書籍第一弾、『まことの喜び』がイーグレープから刊行された。喜びの本質を聖書の御言葉を通して語り、苦難の中でも喜びを保つ秘訣がつづられている。
プロローグで李牧師は、人間にとって幸せの基準とは何かを問い掛けている。韓国社会が経済的に豊かになりながらも、幸福指数は底を打ち、離婚率と失業率、自殺率は頂点に向かっている現状を挙げ、広い家を持つことや財産を持つことだけで人生の喜びと楽しさは決して得られないと述べている。
人間の幸せが所有にあるという考え方はサタンの計略だとする一方、今韓国で流行しているという無所有の人生を強調する風潮も、「人間内面の力を偶像化」させる誤った考えだと指摘する。誤りから抜け出すためには、「喜びの本質」に立ち戻らなければならず、そのためにはまず、この世に生まれた理由と目的を悟る必要があるという。
そこで李牧師は、聖書が、人間を創造した目的を「神に栄光を帰すこと」だと語っているとし、栄華を極めたソロモン王が、幸せを探すために行ってきた全てのことはむなしいものに過ぎず、神を恐れ、神との正しい関係を持つことこそが全てだと語っていることを紹介している。
神を恐れることなしには、「まことの幸せ」と「まことの喜び」は味わえない。「私たちは、神様を賛美し、その方とともに歩むために造られた。ただ主お一人だけを喜ぶ人生の姿勢こそ、神の民がこの世に勝利する秘訣だ」と、神を恐れることと、「まことの喜び」が神の創造の摂理に関係していることを明らかにする。
さらに、李牧師は4つのパートに分け、キリスト者の「まことの喜び」について語る。第一に、キリスト者が持つ喜びの力は、つらい現実の中にあっても、あふれる神の恵みを信じることで、余裕をもって勝利できること。第二に、神の御旨に従順に従うとき、神に喜ばれ、聖なる供え物をささげることができること。第三に、神が下さる使命を喜んで行っていくこと。第四に、主の福音のために生きること。それぞれの根底にあるのは、本書の鍵となる御言葉である「いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい」(ピリピ4:4)だ。
李牧師は、この世で栄冠を受けるよりも、将来主の御前に立ったとき、「よくやった!」と褒められながら被(かぶ)せてもらう栄冠の素晴らしさをあらためて教えてくれる。最後の瞬間に喜び、誇れるのは、ただイエス一人であること。イエスと共に歩む人生こそ誇りとなり、主の福音のために生きた時間こそキリスト者の喜びとなるという。李牧師は本書でこのことを、愛情を込めた言葉で語り掛けている。
『まことの喜び』:李永勲(イ・ヨンフン)著、イーグレープ、2015年5月23日発行、定価1500円(税別)