世界宗教者平和会議(WCRP)は今月8日、国際連合本部(米ニューヨーク)で核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)との特別会合を行った。約70人が参加し、核不拡散条約(NPT)再検討会議の関連公式プログラムとして同会議期間中に行われた。
開会あいさつで、WCRP国際委員会のウィリアム・ベンドレイ事務総長は、世界の宗教指導者と国会議員が初めて連携して核廃絶に向けた行動を起こせることを評価し、「この会合から具体的なアクションを実行したい」とあいさつ。続いて、WCRP日本委員会の杉谷義純理事長が講演。WCRP日本委員会とPNND日本によって作成された核廃絶に向けた共同提言文をはじめ、世界各国の核廃絶のメッセージについて言及。平和への取り組みの意義と必要性を訴えた。
PNND日本から参加した藤末健三参議院議員(民主党)は、日本は世界唯一の実戦での被爆国であり、平和憲法を持つ国として、積極的に核廃絶をリードする役割があると述べ、各国に協力を要請した。
会合ではその後、意見交換が行われ、8月6日、9日の広島・長崎での式典や、9月21日の国際平和デー、同26日の核兵器全面廃絶国際デーにおいて合同の祈りをささげること、核兵器の非人道性をさらに訴えること、世界最大の核保有国である米国に核兵器廃絶に向けて行動するよう働き掛けることなど、意見が出された。
核兵器が実戦で使用されたのは太平洋戦争中の広島・長崎への原子爆弾投下の2回のみだが、その年だけで20万人を超える犠牲者を出した。第二次世界大戦終結後、冷戦を背景とした各国の度重なる核実験や宇宙開発競争などにより、使用方法の研究が進められ、現在では小型化や破壊力の強化、また安価に製造、運用することが可能になった。そのため、今や核兵器は大国だけではなく、経済的に困窮している国家や、場合によってはテロリストなど個人の手にも渡る可能性がある。国家としては配備することによる抑止力としての意義が評価されている側面もあり、核廃絶に向けた議論は現在は大国間のみでは不十分となっている。
このような現状から、世界の政治指導者が広島・長崎を訪問し、被爆の実情を学ぶべきという声も会場から上がった。こうした発言を受け、杉谷理事長は「世界の政治的指導者らの広島・長崎の訪問要請は、このたびのNPT再検討会議で岸田文雄外相が提案しているものと同様であり、この提案は世界の核廃絶を願う全ての市民の共通の思いであることをあらためて認識した」と答え、NPT合意文書に盛り込まれるよう働き掛けを行うと語った。
会合の最後には、WCRP日本委員会とPNND日本が作成した共同提言文を、各国においても作成するよう呼び掛けることを申し合わせ、今後、両団体は協力して行動することを約束した。