上智大学主催の「ローマ教皇フランシスコ イスラエル訪問写真展」が、21日から同大カトリックセンター(東京都千代田区)で始まった。教皇フランシスコは、昨年5月にヨルダン、パレスチナ、イスラエルを歴訪しており、今回の写真展では、そのうちイスラエル訪問時に撮影したもの23点を同国外務省から借り受けて展示する。29日まで。
展示されるのは、教皇とユダヤ教、イスラム教の指導者3人が抱き合う写真や、東方正教会のコンスタンディヌーポリ総主教バルソロメオス1世と歴史的な会談をする様子を捉えたもの、イスラエルの合唱団の子どもたちと歓談する写真など。初日の21日にはオープニングセレモニーが行われ、高祖敏明同大理事長とペレグ・レヴィ駐日イスラエル公使が、歴代教皇と同大との関係や、教皇のイスラエル訪問の意義などについて語った。
高祖理事長は、教皇がイスラエルを訪問した際、ユダヤ教、イスラム教、東方正教会の指導者たちと対話し、世界をつなぐ役割を果たしたことについて触れ、これがまさに同大の精神「叡智(えいち)が世界をつなぐ」の核心だとし、今回の写真展が同大で開かれる意義を語った。また、創立100年以上の歴史ある同大が、設立から今日に至るまで、歴代教皇と深い関わりを持ってきたことを紹介。「多くの方が写真展に訪れ、写真に込められたメッセージを受け取り、世界平和のために一緒に祈り、努力できたら」と語った。
レヴィ公使は、キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒が住む聖地イスラエルを教皇が訪問したことで、「人々に平和への希望をより強くもたせるきっかけとなった」とその意義を強調。「私はユダヤ人ですが、教皇フランシスコは、私にとっても寛容と希望の象徴のように感じられる」と語った。また、日本では宗教に対して寛容な人が多いと感じると言い、「私の出身地でも、日本人の持つ寛容性がもっとあればいいと思う」と話した。
オープニングセレモニーに出席した、経営学を学ぶという同大2年の男子学生は、「これまでイスラム教とキリスト教というと、すぐに対立関係が思い浮んだが、ローマ教皇のイスラエル訪問の写真からは、『和解』を感じる。訪問をきっかけに、いい方向に向かっているのではないかと思う」と語った。
写真展は、学生たちが実行委員会を組織し、今年春から準備を進めてきた。実行委のメンバーは13人で、実行委員長で法学部4年の男子学生は、準備をする中でさまざまな人たちと知り合うことができ、また教皇やイスラエルについて学ぶ機会にもなったと言い、「国際情勢やイスラエルの現状について、学生ももっと知る必要があると思う」と語った。
写真展は、上智大学2号館1階のカトリックセンターで、平日午前9時半から午後5時まで開かれている。入場無料。