ブルース界の伝説的存在であったB・B・キングが14日夜、米ネバダ州ラスベガスの自宅で死去した。89歳だった。かつて農業に従事していたこともある「ブルースの王様」が、健康状態の悪化により、数カ月間の闘病の末、眠りの中で天へと召されていった。
プランテーション農園で働く小作人の両親の下に生まれたキングは、共に戦後に活躍したブルースの巨匠たち――マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、ジミー・リード、ライトニン・ホプキンス、ジョン・リー・フッカー――よりも長い生涯を送り、人種差別が根深い南部の綿畑で生まれた粗削りの音楽が、新しい聴衆を獲得するのを見続けてきた。2003年の「ローリング・ストーンが選ぶ100人の偉大なギタリスト」では、ジミ・ヘンドリックスとデュアン・オールマンに次いで3位に入っていた。
深い霊性を持つ人として描かれるキングは、信仰を実践するクリスチャンであった。幼少期には、当時通っていた教会のアーチー・フェア牧師からギターを学んだという。フェア牧師はキングに幾つかのコードを教え、キングはエルクホーン・バプテスト教会でゴスペルを歌い始めた。彼の遺した多くのインタビューや自叙伝の中で、信仰について語った10の事柄を挙げる。
音楽への愛 「私は、母が教会に連れて行ってくれた時からブルースが好きです。私はゴスペルを聴き始め、好きになりました」
霊性について 「私は誰にもつらく当たったことがないと思います。私はいつも、自分自身を兄弟の付添人と考えています。そして、私たち全てを気に掛ける『偉大なる霊』が存在すると信じています」
教会について 「教会は素晴らしい出会いの場です。安全で穏やかな場所でしょう。人々は優しく、祝福されていると感じます。教会では手を伸ばし、聖霊にある交わりを楽しめるのです」
教皇との会見で 「母と教会に通っていたとき、牧師が自分は他の人とは違うと感じられるようにしてくださいました。牧師は、私が神へのメッセージを受け取ることができると思わせてくださったのです。4、5年前まで、その感覚を思い出すことがなかったのですが、バチカンで教皇ヨハネ・パウロ2世にお会いする機会がありました。私は、神と話し何かを伝えられる、あるいは教皇が神に私のメッセージを届けてくださると感じました」
母の死に際して 「教会は慰めの場所です。音楽と会衆の温かさに包まれています。しかし、教会はこの穴を満たすことができません。何もその穴を満たせないのです」
ゴスペルについて 「母は、私の心をあわれみ深い神への愛で満たしました。ゴスペルはその愛を歌うのです。そして、神もご存じのとおり、私はゴスペルを歌うのが大好きです」
能力について 「私は、全てのミュージシャンについて、その能力は美と人の感情を表現するための神からの贈り物だと信じています」
創造主である神について 「私は神が全てのものを造られたと信じています。私は神の手の業(わざ)――私たちを取り囲む森、海、そして空――に畏怖の念を抱きます。私は神が私たちを造ったと信じています。しかし、私たちの性質はいつも神のようだとは限りません」
神の神秘について 「しかし、神は生と死がそうであるように、神ご自身が奇跡と謎そのものです。私が完全に説明、理解できるようなことではありません。私は物事をそのまま受け入れる準備ができています」
死後の世界について 「全ての人が天国に行きたがりますが、天国に行くために死にたいと思う人はいません」