青山学院講堂で8日、レクチャー・コンサート「45 Streets Band: Next Generation Worship」が行われた。同大学の共通教養教育カリキュラム「青山スタンダード」のコアとなるキリスト教理解関連科目の特別講座として行われているイベントで、レクチャー(講義)とコンサートを兼ね合わせた形式で毎回違うジャンルのキリスト教音楽を扱っている。一般にも公開され、在学生以外も“受講”が可能。この日は大学生以外にも、同学院高等部の生徒や保護者、また大学の卒業生や教職員の家族など約800人が集まった。今回はコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック(CCM)を扱い、東京・代官山にある東京バプテスト教会のユースパフォーマンスチーム「45 Streets Band」が出演した。
講壇に立った同学院宗教部長のシュー土戸ポール准教授が初めに、「キリスト教音楽の多様性を知ってほしい」と目的を語り、コンサートがスタート。キリスト教音楽の本質は特定のジャンル、スタイルではないと言い、「会衆が参加し、神との関係を築き、味わうのが特徴。あらゆる時代、あらゆる場所の最新のスタイルがキリスト教音楽になり得るのです」と、分かりやすい言葉で語り掛けた。
礼拝の意味については、「神の性質を祝い、味わえる時であり、自分が受け取るためではなく、神に自分をささげる」ことだと説明。その中には、癒やし・愛・希望・平安・喜びを持っている自分を表現することも含むという。「だから楽しいで終わってはならない。その先にある自分をささげることが礼拝。神様は私たちと親子のような関係を築きたいと言っている。それを知ってほしい」と語った。
東京バプテスト教会のクリス・マカトリー牧師も、「今日は座って大人しく“鑑賞”するようなコンサートじゃありません。一緒に楽しく歌って、自由に飛び跳ねて神様との時間を楽しみましょう!」と観客を巻き込むMCで盛り上げた。
45 Streets Band が同大で賛美を披露するのは今回で3回目。ポール准教授は長年、学生たちの心に届く賛美を広めたいという情熱を持っていたという。そこで、CCMが好きな友人でもあるクリス牧師との親交から、「レクチャーを兼ねて賛美の文化を伝えられないか」と考え、今回のレクチャー・コンサートが実現した。
東京バプテスト教会が行うプログラムの一環で結成された 45 Streets Band は、旧約聖書のミカ書4章5節の「どの民もおのおの、自分の神の名によって歩む。我々は、とこしえに我らの神、主の御名によって歩む」という言葉をテーマにしている。「僕たちは、ただ言葉だけじゃなくて自分たちの行動や生き様でイエスを伝えていく。ただ奉仕するのではなく、神様との関係を楽しみ、自分たちで賛美しているんだけど、集まった人みんなで楽しめるように伝えています」とクリス牧師。この日は、歌や楽器による演奏だけではなくダンスも披露し、集まった“受講生”と共に神とのひと時を楽しんだ。
新約聖書によれば、教会には当初から国際色豊かな人たちが集まり、時にはそれぞれのアイデンティティーがぶつかり合い、文化や慣習、伝統などをめぐって争いがあった。しかし、「文化ではなく、イエス・キリストのもたらした福音が中心。音楽は自己表現であると同時に心から神を礼拝するための文化的手段」とポール准教授。世界中の賛美のスタイルと文化に触れ、「賛美はどれが良いか、悪いかではなく、一人ひとりの心に神の愛が届く形が真に目指すべき姿」と語った。
次回のレクチャー・コンサートは、6月5日(金)午後6時半から、バロック時代の音楽を古楽器で演奏するグループとして世界最高峰の一つに数えられる「バッハ・コレギウム・ジャパン」(BCJ)を迎えて、青山学院講堂で開催される。BCJを招いてのコンサートは毎年開催されており、人気も高く今年で12回目。バッハが音楽を通して表そうとしたキリスト教信仰や作品の時代的背景について、BCJ音楽監督で熱心なクリスチャンでもある指揮者の鈴木雅明氏が丁寧に解説する。