教会・クリスチャンが教派を超えて協力する、クリスチャンのための青年大会「J+Passion Tokyo 2015」が25日、日本バプテスト教会連合大野キリスト教会(神奈川県相模原市)で開かれた。15回目となった今年のテーマは、神に与えられたかけがえのないクリスチャン生活を決して他人事(ひとごと)にしない、という意味から、「自分事(じぶんごと)」に。参加した若者たち約200人が聖会や分科会を通して力いっぱい主を賛美し、聖書の学びの時を持った。
同大会の理念は、青年たちを育て、励まし、また彼らを通して教会を力づけ、時代に影響をもたらしていくこと。この日は、J+Passion Tokyo 2015 実行委員長の野田勝利牧師(ひばりが丘バイブルチャーチ)が、「J+Passion は、若者と『自分は若い』と思う人たちの集会。自分事というテーマが掲げられているように、この集会を自分の手でつくり上げていくという思いを持って集まってください」と、神を求める全てのクリスチャンに招きを呼び掛け、開会した。
聖会Ⅰでは、講師の中村宏章牧師(大野キリスト教会)が、「神様があなたのために用意している計画を他人事と思ってほしくない」と問題提起。出エジプト記を題材に、モーセを「聖書の中で神の召し(呼び掛け)を最も他人事として受け止めた人物」と位置付けて、語り掛けた。
用いられたのは、出エジプト記の3〜4章の場面。神の山ホレブで神の声を聞いたとき、モーセはあらゆる理由を並べ立てて、神の召しを拒絶しようとした。これについて、中村牧師は「モーセにとってそれはただの言い訳でしかなく、モーセがそこまでして避けたかったのは彼自身の過去なのではないか」と述べ、ヘブル人として生まれたにも関わらず、エジプトの王族として育てられたモーセの極めて特殊といえる半生を振り返った。
「ことばにもわざにも力があった」と聖書に記されているように、政治家としても軍人としても、非常に優れていたモーセの将来は確実に保証されていた。しかし、自分の持っている力で同胞のヘブル人を救おうとしたために、殺人を犯してしまう。それは、同胞にも受け入れられることなく、またエジプトからも追われる身となり、一度に2つの居場所を失うという、彼にとって大きな挫折体験となった。そのモーセがエジプトに戻るということについて、中村牧師は、「モーセにとって自身の過去と向き合い、その傷の痛みを思い起こすということであった」と結論付けた。
その上で、「神の召しに応えるということは、多くの場合、それまで以上の痛みを抱えることになる道だ」と中村牧師。神に説得され、半ば諦める形で神の声に従っていくことになるモーセについて、「モーセはその後の人生で一度でも後悔したと思うか」と会場に問い掛けた。
そして、「痛みや苦しみ以上の大きな幸いが与えられたことを聖書は示している」と言い、「モーセの人生が聖書に書かれているのは、神があなたにも同じような素晴らしい計画を用意しているのだという、あなたへ向けたメッセージなのだ」と力強く語った。
分科会では、「礼拝」「ミニストリーのはじめ方」「献身」「初心者の館」「恋愛・性・結婚」「ユースを助ける大人として」の6つのテーマに分かれて学びが行われた。
このうち「献身」の学びは、聖会Ⅱの講師を務めた永井信義牧師(東北中央教会)が担当。開拓牧師の家に生まれた永井牧師は、「牧師だけには絶対にならないと思っていた」という自身の人生をローマ人への手紙12章に重ねて振り返り、「自分の人生が大きくひっくり返されることが献身」と語った。「ありのままの自分で良い、というメッセージが一世を風靡(ふうび)したことがあったが、もし、ありのままで神に放っておかれてしまったら、いつまでも汚れた自分のままでいることになってしまう」と永井牧師。自分がありのままでいるのではなく、ありのままの神を受け入れることが大切だとし、「献身とは、ささげることと変えられることだ」と語り掛けた。
また永井牧師は、今のクリスチャンに求められているものについて、「生きた供え物をささげること。イエス・キリストは私の主人です、という告白と、私はイエス・キリストのしもべです、という告白をし続けることだ」と強調。「神に仕えようとする人に対して、悪魔はこの世の価値観と自己中心的な考えをもって心を惑わそうとしてくる。『自分が、私が』という生き方を、『神が、主が』という生き方に変えていくために、誘惑に陥らないよう注意しつつ、自分の全存在を神にささげていく歩みをしていこう」と若者たちを励ました。
今大会の講師の2人は、「まさに J+Passion ファミリー」(野田牧師)という顔ぶれだった。 永井牧師は15年前に大会が始まったときの最初の実行委員で、中村牧師は現役の実行委員の1人。会場は、昨年献堂されたばかりの大野キリスト教会が使用されたが、初めての場所とは思えないような“ホーム感”があった。野田牧師は大会を振り返り、「中山有太師とプレイズステーションの皆さんの卓越したワーシップリードによって、最初の集会から、圧倒的な主の臨在と聖霊の流れが生まれ、いつになく一体感のある熱い大会になったと感じた」と話してくれた。