アフガニスタン東部ジャララバードの銀行前で18日に起った自爆テロは当初、過激派組織「イスラム国」(IS)系のグループによる犯行と伝えられていたが、ISは27日、関与を否定する声明を発表した。ISの関与については、北大西洋条約機構(NATO)やアフガニスタン政府の報道官が事件発生から数日後に、「この事件において、ISが指示や支援をしたとする証拠はまだ見つかっていない」と述べ、ISの関与を疑問視していた。
この自爆テロでは35人余りが死亡、100人以上が負傷。アフガニスタンにおけるISによる初のテロの可能性があるとして注目を集めた。AFP通信は当初、ISの報道官を自称する者が同社の電話取材に応じ、自爆テロへの関与を主張したと伝えていた。また各メディアも、アシュラフ・ガニ大統領が犯行は同国で自爆テロを繰り返す反政府勢力のタリバンではなく、IS系のグループだと語ったと伝えていた。
米ニューヨーク・タイムス紙によると、ジャララバードでは同日午前8時ごろに3つの爆破事件が発生。今回の事件はそのうちの1つだった。
実行犯は小型バイクで現場のカブール銀行前に乗り付け、身に付けていた爆弾を爆発させたという。この日は土曜で、金曜が休日のアフガニスタンでは週明けの初日であり、給料日だった。実行犯はより多くの人命を奪うため、銀行が混雑しているであろうこの日を選んだとみられる。
タリバンのザビウラー・ムジャヒド報道官はこの事件を非難。報道機関に送られた文書でムジャヒド氏は、「ジャララバードでの爆破事件はわれわれとは何ら関連がなく、われわれはこれを非難する」と述べた。
国連も声明を発表。国連アフガニスタン支援団(UNAMA)のニコラス・ヘイサム事務総長特別代表は、「自爆攻撃を人口が密集した地域で行い続けることは、確実に多くのアフガニスタン市民を殺害し、また深く傷を負わせることであって、戦争犯罪に相当するでしょう」と述べた。
国際テロ組織「アルカイダ」の分派とされるISは、レバント(東部地中海沿岸地域)をはじめとする広い地域においてカリフ制国家の建国を目指している。ISは現在、シリアとイラクの広い地域を統治しており、さらに領土を広げようとしている。
今年1月、ISのアブ・モハメド・アルアドナニ報道官は、アフガニスタンとパキスタンのほとんどと、両国に隣接する国々の一部を含む地域を「ホラサン」と呼び、ISの領土だと宣言した。しかし、アジア・太平洋地域のニュースサイト「ザ・ディプロマット」によれば、ISはその地域をほとんど支配しておらず、その領土は実質的というよりも概念的なものだという。
ISは南アジア地域では、タリバンやアルカイダと協力関係にはなく、むしろ対立勢力となっていることが伝えられている。
ホラサン地域におけるISの指導者は、パキスタンの連邦直轄部族地域(FATA)の一つクラム管区において「パキスタン・タリバン運動」(TTP)を指揮していた、ハーフィズ・サイード・カーン容疑者と特定されていたが、カーン容疑者は米軍による空爆で既に死亡したと伝えられている。この地域におけるISの指導者と司令官は、FATAないし、イスラム教スンニ派とシーア派の対立によって暴力の連鎖が続いている地域の出身だ。