【CJC=東京】リビアを出航し、地中海経由で欧州へ向かっていた密航船の船内で15日、イスラム教徒の密航者15人がキリスト者の密航者12人を海に突き落として殺害した。イタリア警察は16日、殺害容疑で15人を逮捕した。
生存者の証言では、密航船はゴム製で沈没しかかっており、マリなどからのイスラム教徒の集団は、アラーに向かって救いを祈り、ナイジェリアなどからのキリスト者は神に向かって祈っていた。
イスラム教徒は、救ってくれるのはアラーだからと、キリスト者を船縁から海中へ突き落とし始め、12人が投げ出された。残ったキリスト者は、他の移民らが「人間の鎖」をつくって守ったという。
紛争の悪化や貧困などにより、中東・アフリカから密航船で欧州を目指す不法移民や難民の波は止まらず、地中海で遭難して多数が死亡する例も絶えない。
18日には約700人が乗ったと見られる船がイタリアに向かっていたところ転覆し、28人が救助されたが、残る人たちの行方は分かっていない。
この事態を受けて教皇フランシスコは、「こうした悲劇が繰り返されることのないよう、国際社会は敏速に、断固たる措置を」と呼び掛けた。