米国で約180店舗を展開するキリスト教の書籍・雑貨店「ライフウェイ・クリスチャン・ストア」が、天国に行ったことがあると主張した男の子の話に基づいた本を販売していることで非難にさらされている。その男の子が今は物語は作り話だったと語っているからだ。
問題となっているのは、『The Boy Who Came Back From Heaven(天国から戻ってきた男の子)』という本で、米ティンダルハウス出版から2010年に発売された。2004年にひどい交通事故に遭い、苦しんだ当時6歳のアレックス・マラーキーくんの物語を著した作品だ。その事故により、アレックスくんは体の一部がまひし、一度昏睡状態に陥ったときは生存が危ぶまれたこともあった。アレックスくんは2カ月後に意識を取り戻し、天使がイエスに会うために、彼を天国の門へ連れて行ったと語った。
アレックスくんは、「天国から戻ってこなかった男の子から、ライフウェイ社と他の販売者、購入者、そして天国への旅の販売担当者への皆様への公開書簡」と題した手紙の中で、物語の正当性について記した。
「ぼくは、天国に行ったと言えば、人の関心を引けると思いそう言いました。ぼくがそう言った当時は、聖書を読んだことがありませんでした」とアレックスくんは説明し、「人々は嘘から利益を得て、まだ得続けています。そういった人は聖書を読むべきです。それで十分です。聖書は唯一の真理の源です」と語った。
そしてアレックスくんは、現在信じている救いへの明らかな道が何であるかを語った。
「救いは、罪の悔い改めと、あなたが赦されるために、ご自身は罪を犯されていないにもかかわらず、あなたの罪のために死なれた神の子イエスへの信仰にのみあります。あなたが聖書に書かれている以外の天国の話を学んでも、人の手によって書かれた作品を読んでも、救われることはありません」
ライフウェイ社の渉外担当部長マーティン・キング氏によると、ライフウェイ社は迅速に対応を取る予定だ。
「ライフウェイ社は今週、アレックス・マラーキーくんが『天国から戻ってきた男の子』という本にある、天国に行ったという彼の体験談を撤回したことを知りました。そのため、出版社に私たちの店舗にある何冊かの在庫を返還する予定です」とキング氏は語った。
アレックスくんの母ベスさんは昨年4月、この件についてブログにつづっていた。そのブログの記事によると、本は聖書的な響きがなく、それによってアレックスくんは「猛烈に」傷ついたという。またベスさんは、アレックスくんがその本によって一銭も手にしていないことを強調した。
ベスさんは、「アレックスは最初に、『牧師』にその本がいかに間違っていて、出版差し止めがどれほど必要かを説明しようとしましたが、その本が人を祝福していると言われました」とつづっている。さらに、「私は息子と真理を守ろうとしました。アレックスは本を書いてはいませんし、祝福されてもいません!」と述べた。
南部バプテスト連盟の中では、その本より数カ月あとに出版されたベストセラー本『天国は、ほんとうにある(原題:Heaven is for Real)』(トーマスネルソン、2010年)についての議論も起こっている。昨年、『天国は、ほんとうにある』は映画化された。この本と映画は、緊急の虫垂切除手術を受けた4歳の男の子が、天国を体験したと語ったことに基づいた作品。昨夏、南部バプテスト連盟は、「天国と地獄についての真理への理解を左右するような主観的な体験の説明について、聖書的黙示であるかどうかの十全性を再確認する」という決議を採択した。