日系の教会に行くと、やはり女性が男性よりダントツに多いことに気がつく。奉仕されている方も、男性より女性が多いと思うのは私だけだろうか。そんな中、精力的に教会の奉仕と開拓を支援し、メンズグループを立ち上げ、神様をまっすぐに追いかける素晴らしい男性がいる。3つのカルチャーを背負い、南カリフォルニアで日本人男性の救いのために働くデヴィット・トキゾウ・リーさんだ。
私は”先輩”と呼ばせてもらっている。霊的にも、ミニストリーにおいてもすばらしい”先輩”であるデヴィットさんの出生地は大阪市東淀川区。まだお母さんの胎内にいる時に、いかだ船で日本に渡ってきた。お姉さんと妹さんがいる。現在は3人の娘さんと息子さんが1人、奥さんとお母さんの7人家族でアーバインに暮らしている。在米歴は27年になる。
子どもの頃は大変なやんちゃ坊主だったとか。でも、弱い者いじめはしなかった。学生時代は、言葉よりも手の早かった父親との関係に悩み、2度家出をしたことも。今の働きは、その時の体験が大きく影響しているという。東京の私立高校の寮で生活を始め、アメリカンフットボールに没頭したが、目標のないまま大学4年間を過ごした。その中で、アメリカの叔母を訪ねたことをきっかけに、卒業後すぐアメリカに渡った。
その後、当時看護師だった奥さんと韓国で出会い、結婚。カトリックの教会で幼少から学んだ奥さんのものの考え方や人に対する接し方の違いを見ながらも、自分なりに求道し、密教の先生のもとで山岳修行や瞑想をしたこともあった。そんな時も奥さんは何も口出ししなかったという。99年ごろから、奥さんと4人の小さな子どもたちはアーバインの韓国系バプテスト教会へ通い始めたが、デヴィットさんは送り迎えをしただけだった。2年ほど経ったある日、娘さんのコンサートでサドルバック教会へ行くことに。宗教の匂いがしない、飾りもないモダンな建物に興味をそそられ、「こんな教会はどんなことを話しているのだろう」と思い、サドルバック教会に行ってみたそうだ。その時のことをこう語ってくれた。
「ちょうど『40 days of purpose』のキャンペーンの時期で、何をやっているのか理解できませんでしたが、とりあえず牧師の書いた本があるので買って読んでみようと手にしたのが、あの有名な『Purpose driven life』だったのです。そしてその第一チャプターに出てくる有名なフレーズ『It’s not about you』 の一言だけで僕の築いていた心の壁が破壊され、その3カ月後には洗礼を受けていました。洗礼を受けた約1年後に『God’s men club』というクリスチャン男性のスモールグループを聖書も何もわからず始めました。それがなんと10年後の今まで続くなどとは、まさに神様の御業としか言いようがありません。隔週に男性クリスチャンが集まり、主に御言葉の日常生活への適用をテーマに、2時間ほどディスカッションをしています」
これからの課題と抱負も聞いてみた。
「今世の中を見てみると、はるかに女性の方が男性より行動力がありますし、学習能力やコミュニケーション力も高いです。このように世の中が移り変わるにつれ、家庭や職場で自分の立ち居地やふるまいが分からなくなっている男性も増えているようで、昔の自分のようにいつも何かを探し求めています。しかし、聖書には男性や夫の役割、またリーダーシップについてクリアに書かれています。アメリカの有名なビジネスコーチの多くは聖書をベースにしてプログラムを体系立てて作っています。この聖書的理解を多くの男性たちに広め、自分だけではなく周りの人に価値を与えていける男性を増やしていきたいというのが願いです。好きな聖句は詩篇23篇です。このダビデの詩篇で何度も助けられ、勇気づけられ、希望を持ち続けることができました」
「主なる神は言われた。『人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう』」(創世記2:18)
先輩に助けられるたびに、どれだけ人と人が、男性と女性が協力していくことが大事か教えられる。頼もしい限りだ。
◇
マリ・パクストン(Mari Paxton)
日本でスタジオミュージシャン、コマーシャルシンガーとして活躍後、オーストラリア、アメリカへ渡る。結婚後、ラマーズクラスで知り合った牧師夫妻を通して教会に導かれ、クリスチャンに。家庭集会を日本人主婦向けに始める。現在、南カリフォルニアのサドルバック教会(リック・ウォレン牧師)でゴスペルクワイアのソリストとして活躍し、3人の子どもの成長とともに、夫婦向けの家庭集会をホストしている。今年9月には、アンディ・デロス・サントスのプロデュースでアルバム「主を信じよう」(iTunesにて配信中)を発表した。