米ワシントンDCのある教会の約4分の1の会衆が、最近になって日曜礼拝への出席をやめた。誰も西アフリカ地域への渡航を計画していないにもかかわらず、西アフリカに旅行したかもしれない人からエボラウイルスを感染させられることを恐れてのことだ。
トリニティー監督教会のジョン・ハーモン牧師は、おびえた教会員が欠席の理由を電話で伝えるまで、なぜ教会員のうち50人が突然礼拝に出席しなくなったか不思議に思っていた。
「ある人が電話をくれて、『誰が西アフリカ地域に渡航しているか分からないから、教会には行きません』と言ったのです」と、ハーモン牧師は米国の公共ラジオNPRに話した。
トリニティー監督教会は、ハーモン牧師の出生地であるリベリアを含む20以上の国から多様な会衆が集まっている。ハーモン牧師は1982年に米国に移民した。ハーモン牧師は、教会の誰も西アフリカ地域に旅行する計画をしてはいないことから、エボラウイルスへの感染の恐れは無意味だと説明した。
同教会では、西アフリカ地域でのエボラウイルスの広まりと闘うために寄付を募り、5千ドル(約60万円)を集め、医薬品や防護服などの用品とともに流行地域の各国へ寄付した。この寄付の働きが成功したにもかかわらず、多くの会衆がいまだに自分たちの生活について恐れを持っており、ハーモン牧師が日曜午前の礼拝に多くの教会員が欠席していることに気づくに至った。
「礼拝の中で私たちは会話をしました」とハーモン牧師は言う。説教の時間を使って、教会員が海外旅行に出かけた他の会員からエボラウイルスに感染するかもしれないという考えを口にできる機会を設けたという。
また、ハーモン牧師は何人かの医師を教会に招き、どのようにエボラウイルスが広まるかを説明する機会を設けた。同教会の会員の一人コラ・ディクソンさんは、この説明によってとても安心したという。
ハーモン牧師は、たとえ西アフリカ地域には行っていないとしても、海外旅行をした会員は3週間教会を休むように頼んだ。3週間という期間は、エボラウイルスの潜伏期に由来する。そしてさらに恐怖を静めるために、礼拝堂に手指の消毒薬を設置し、教会の案内係や牧師は会衆に見えるように使用している。
「私は祭壇に戻ったときに消毒薬を使い、目に見える形で互いを気にかけていることを示しています」とハーモン牧師は言う。
ハーモン牧師によると、エボラウイルスへの恐れを取り扱ったあと、礼拝出席は次第に戻ってきており、地域への奉仕活動にも参加が増えているという。
案内係として仕えるアドルファス・ウカエグブさんは、多くの人は礼拝に戻ってきたが、他にまだ戻ることを渋っている人たちもいると話した。ウカエグブさんは、以前日曜午前の礼拝に出席するために迎えに行っていた、あるお年寄りの女性に心を留めている。「その方は、『会衆に多くの西アフリカ出身者がいるから、教会には行かないほうがいい』とアドバイスされたと私に話したのです。そして、それ以来その方を見かけません」