インドネシアのスマトラ島沖で2004年に大地震と津波が発生してから、26日でちょうど10年を迎えた。震源地に近いアチェ州の都市バンダアチェにある4つのキリスト教会でも、その前日25日には、クリスマスのミサや礼拝が行われた。インドネシアの地元紙「アチェ・キタ」(電子版)などが伝えた。
それらによると、バンダアチェはイスラム教徒が多数派であるものの、少数派のキリスト教徒たちは地元のカトリック聖心教会、西インドネシア・プロテスタント教会、メソジスト教会、バタック・キリスト教プロテスタント教会(HKBP、バタック族のルーテル教会)のミサや礼拝にそれぞれ出席した。
バチカンのフィデス通信は今年1月10日、アチェ州のキリスト教人口は、2010年の調査で全人口450万人中1・2パーセントしかおらず、その数は増えているものの、イスラム法の下で教会を建てる許可が与えられていないと報じていた。
25日には、バンダアチェやアチェのその他の地域では大雨が降り、警察を動員した警備もなされたものの、熱心なキリスト教徒たちがクリスマスを祝おうと集まり、ミサや礼拝は無事行われたという。
バンダアチェのクリスマスが、スマトラ沖大地震・津波10周年の前日であったことから、津波で被災したアチェ人を追悼するためにも用いられたという。インドネシア語のニュースメディア「スアラ・ペムバルアン」紙(電子版)などは、アチェの人たちが未来を望み、これまでの10年間の下降から脱することができるように望むという、地元の人たちの声を伝えた。
同紙などによると、カトリック聖心教会のエブラン・シナガ司祭は、「クリスマスの祝祭が津波の警報と同時に起こったなんて、ドキドキします。2014年12月26日(の10年前)の津波で犠牲となったクリスチャンたちは多いですから」と語ったという。
一方、HKBPは25日、インドネシア語の公式ウェブサイトでクリスマスの祝祭の喜びを詳しく伝えた。一部の役員が、アチェで行われたスマトラ沖大地震・津波10周年記念行事に出席するためにその祝祭に出席できなかったと伝えたが、同教会での追悼・記念行事については伝えていない。
同サイトによると、同教会のオンプ・エフォルス牧師は、「教会の幻であり続けるのは、世界にとっての恵みとなること。従って、教会は自然災害の被害者たちを助けるのです。地元だけでなく、フィリピンなど外国の台風の被害者たちなども、クリスチャンだけでなくパレスチナ人たちに対しても。私たちはパレスチナ人を知らないけれども、人類愛の精神で私たちはパレスチナの兄弟姉妹たちも助けるのです。ですから、宗教や人種、文化の区別にかかわらず、お互いに支え合い、助け合う教会であることを示しましょう。これが私たちの務めです」と語ったという。