イスラム過激派組織「イスラム国」の黒地に白い文字の書かれた旗は、今や中東においては恐怖と残虐さの象徴となっているが、オーストラリアの教会では、それを180度変え、良いことのために使おうとしている。
アウトリーチ・メディアが11月に作成したポスターは、一見イスラム国の旗に見えるが、よく見てみると、元のアラビア語の文章をイエスが弟子に語った言葉「敵を愛し、迫害する者のために祈れ(love your enemies and pray for those who persecute you)」(マタイ5:44)に置き換えてあるのが分かる。
元のイスラム国の旗は、「アラーの他には神はなく、ムハンマドはアラーの預言者である」と宣言する内容が書かれている。
アウトリーチ・メディアは、このポスターを「キリストの愛とイスラム国の残酷な行動を対比させる」ことを期待して作った。イスラム国による迫害に苦しんでいるキリスト教徒との連帯を表したポスターがほしいと教会からの要請があり、作成したという。
オーストラリア聖書協会によれば、約100の教会で11月、このポスターが掲示され、このデザイン以外のポスターを希望したのはたったの12教会だけだったという。
アウトリーチ・メディアのディレクターであるマルコム・ウィリアムズ氏は、このイスラム国の旗にヒントを得たポスターが確かに「刺激的」だと認めるが、会話のきっかけにするためにデザインしたという。
「私たちは、地域のコミュニティーと会話を持とうとしているのです」とウィリアムズ氏。「ですから年間にさまざまな種類のポスターが出来上がります。質問を投げ掛けるものもありますし、ユーモラスなものや風変わりなものもあります。今は真剣に深く考えさせるものを提示する時なのです」と話す。
アウトリーチ・メディアが物議をかもす内容のポスターを教会に提供するのは、これが初めてではない。2007年には、「イエスはウサマ(・ビン・ラディン氏)を愛している」というキャッチコピーをつけたポスターを作成した。
「あの『イエスはウサマを愛している』ポスターが最も挑発的でした」とウィリアムズ氏は言う。