イスラム原理主義を収束させるための宗教間の首脳会談の翌日11月29日、教皇フランシスコはトルコのイスタンブールにある17世紀に建てられたモスクを訪れ、メッカの方角へ頭を垂れて数分間の黙祷をささげた。
バチカン放送によると、教皇は3日間のトルコ訪問の2日目である29日に、ブルーモスクとして有名なスルタンアホメット・モスクを訪れた。キリスト教徒とイスラム教徒の関係を示す場として選んだという。
壁に青いタイルが貼られたモスクに入る前、教皇はしきたりに従って靴を脱いだ。教皇の隣にはグランド・ムフティ(イスラム教の指導者)が立ち、石の柱やドームに描かれたコーランの文章について説明した。
教皇は同日、6世紀に建てられたビザンチン式の大聖堂であり、15世紀半ばのコンスタンチノープル陥落の後モスクとなっていたアヤソフィア博物館も訪問した。
教皇のこの訪問は、宗教間の関係作りを促進するための努力とみなされている。
教皇はトルコの首都アンカラと同国最大の都市イスタンブールの司牧訪問初日である28日、「狂信的になること、原理主義、いわれのない恐怖は誤解と差別を生みます。全ての信仰者が連帯して、これに立ち向かう必要があります」と、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と政治家を前にした講演の中で語った。
「イスラム教徒もユダヤ教徒もキリスト教徒も、全ての市民が法の規定と実践の両面において、同じ権利を享受し、同じ義務を果たすようにすることが不可欠です」と教皇。「そうすれば、同じ道を旅している兄弟姉妹として互いを見られるようになりますし、誤解を避け、協力と調和を保とうと常に努力できるでしょう。信教の自由と表現の自由が全ての人に本当の意味で保障されるようになるとき、その自由は互いの友情を花開かせ、平和の雄弁な象徴となるでしょう」
29日、教皇はイスタンブールのカトリック司教座である聖霊大聖堂で公開ミサを執り行った。
正教会のコンスタンチノープル総主教であるバルソロメオス1世をはじめとする他のキリスト教諸教派のリーダーたちと共に、教皇は聖霊による信徒たちの一致を指し示した。聖霊に導かれて自らの快適な場所から出て、「心温まる優しさ」と共に兄弟姉妹のところに出向くなら、聖霊がわれわれに触れてくださる、と教皇は語ったという。
教皇が宗教間の対話と関係強化を重要視する背景には、「イスラム国(IS)」または「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と呼ばれる過激派によって広い地域を支配されているイラクとシリアにおいて、少数派であるキリスト教徒とヤジディ教徒が標的とされ、殺害されていることがある。
アルカイダの分派であるイスラム国は、レバノンとシリアの近郊で「ジハード」によってイスラム首長国を建てようとしている。イラクでは、イスラム国は何百人もの市民を殺害した。多数のキリスト教徒やヤジディ教徒も殺害され、数万人が家を追われた。また、約5千人のヤジディ教徒の少女や女性たちが最近、イスラム国によって捕らえられ、奴隷として売られたり戦闘員に与えられたりしている。