ローマ教皇フランシスコが来年9月、即位後初めて米国を訪問することを、ローマ教皇庁(バチカン)が17日、発表した。米CNN(日本語版)などが報じた。
報道によると、教皇はペンシルベニア州フィラデルフィアで開催されるカトリック教会の「世界家族会議」に出席する。歴代の教皇では、ヨハネ・パウロ2世、パウロ6世、ベネディクト16世が在位中に訪米しており、教皇の訪米は、今回で4人目、2008年以来7年ぶりとなる。
世界家族会議は家族の重要さをたたえることを目的に、1994年にローマで開かれ、以後3年ごとに異なる都市で開催されている。現代社会における家族のあり方は、教皇フランシスコにとっても、大きなテーマの一つとなっている。
来年の会議は、9月22日から27日にわたって開催され、数日間のワークショップや講義、その他のさまざまな活動が予定されている。世界家族会議には、参加費を払った人であれば誰でも参加できる。教皇は27日の最終日に、1979年にヨハネ・パウロ2世が行ったように、市中心部の大通りでミサを執り行う予定だ。
3月のバチカン会議の際、すでに教皇はペンシルベニア州知事のトム・コルベット氏に訪米の意思を伝えていたことを、コルベット夫人が会見で明らかにしていた。今回の正式な発表は、「伝統的な家族の価値についての宗教間バチカン会議」の間になされ、連絡が入った現地時間午前3時半のフィラデルフィアには衝撃が走ったという。
ちょうど先週、1万人を超えるフィラデルフィアのカトリックの学生たちが、訪米を願い77歳の教皇を激励する手書きの手紙を送っており、フィラデルフィアのチャプット大司教は声明で、「神が教皇をフィラデルフィアへ導かれますようにと祈り続けた多くの人々の願いがかなった」と述べた。
フィラデルフィアのナッター市長も記者会見で、「フィラデルフィアにとって、歴史的で未曾有の日だ。これ以上に喜ばしいことはない」と語った。会議の主催者は、100万人以上が教皇の訪米に合わせて、遠くは教皇の故郷南米などから、フィラデルフィアに来ることを予想しており、実際、フィラデルフィアの市中心から半径16キロメートル以内のホテルはすで予約で一杯だという。
教皇の訪米は非常に大規模な行事となるため、詳細な旅程の決定は、来年の秋近くまでかかるとされている。訪問地はフィラデルフィアだけでなく、国連総会への参加のためにニューヨークやワシントンDCにも訪れることが予想されている。また、家族に関する問題ばかりでなく、米国におけるカトリック聖職者の性的虐待スキャンダルなどの問題に、教皇がどのように取り組むのかなど、さまざまな観点から期待が高まっている。