聖学院大学(埼玉県上尾市)は11月26日、クリスマスツリーの点灯祭を行った。当日はあいにくの天候ながら在学生や卒業生、附属幼稚園の児童や保護者合わせて約700人の人で賑わった。クリスマスツリーは、大学図書館棟前のヒマラヤ杉をデコレートしたもので、点灯祭は今年で28回目を迎え、地域の風物詩となっている。
クリスマスツリーのルーツには諸説あるものの、15世紀のドイツでパン職人のクリスチャンたちが教会が運営する貧困者収容施設にツリーを贈ったことが、記録として残されている。日本には明治維新前、開国したばかりのころに日本に来たプロイセン王国の使節が公館に飾ったことが初めとされている。1874年には、当時浮世絵商だったクリスチャンの実業家・原胤昭(はら・たねあき)により、日本人主催初といわれるクリスマスパーティーが開かれ、日本初のサンタクロースと共に登場している。
点灯祭は当初、図書館棟前に植えられたツリーの前で行われる予定だったが、悪天候のため予定を変更してチャペルで行われた。同大学のフィルハーモニー管弦楽団による前奏、大学の敷地内に所在する聖学院教会と同大学の合同聖歌隊による賛美で開始。祈祷文は特に3・11で被災した東北を覚え、一日も早い復興が祈られた。
説教は、同大学人間福祉学部チャプレンの阿部洋治氏が、ルカによる福音書2章1~7節を引用してメッセージ。当日多く集まった園児たちにも理解できるよう平易な表現で、「イエス様は生まれてからすごく苦労しました。両親もお金が無く宿も取れない中、生まれました」と伝えた。
さらにツリーを飾る意義についても、「イエス様はこのようにとても辛い思いをした方。だから同じように辛い思いをしている人々を放っておくことができませんでした。この木に飾られた明かりの一つ一つは、辛い、悲しい、どうにかしたいと暗い中で願ってる人たちに、『大丈夫!イエス様はもう来て助けてくれた』と伝える明かりを灯すために行っているのです」と説明した。点灯祭の礼拝は同大学のハンドベルクワイアの演奏で終えた。
聖学院大学は2011年の3・11発災以来、学生を中心にしたボランティアを被災地に送り支援を続けている。点灯祭終了後、被災地支援のためのバザーやホサナショップの物販も行われ、継続した支援と関係構築を行っていることがうかがえた。
その後第二部では地元で活動する女声コーラス“グリューン”によるコンサートがチャペルで行われ、聴衆はイエスの誕生を明るく祝った。
このクリスマスツリーは、来年1月4日まで毎日午後4時半から9時半まで点灯。校門の外からも見ることができる。