北海道旭川市出身のクリスチャン小説家、三浦綾子(1922〜1999)がデビューして今年で50年。デビュー作であり、人間の生まれながら持つ罪の性質を描いた小説『氷点』は彼女の代表作である。この作品が世に出たことを記念して同市の三浦綾子記念文学館と同文学館を運営する三浦綾子記念文化財団は、朝日新聞北海道支社などと共催で、今年限りの「三浦綾子文学賞」を設け、このほど受賞者が決まった。
170点の応募作品の中から選ばれたのは、北海道別海町の河﨑秋子さん(35)による『颶風(ぐふう)の王』。受賞した河﨑さんには副賞として50万円も贈られる。
朝日新聞によると、『颶風の王』は、東北から馬と共に北海道に渡った家族の、明治から平成まで6代にわたる歩みを描いた物語。河﨑さんはこれまで出版作品はないが、酪農業の傍ら執筆を行ってきたという。『颶風の王』は、来年春にもKADOKAWAから出版される。
三浦綾子の長編小説『氷点』は、朝日新聞社の大阪本社創刊85周年と東京本社創刊75周年を記念する事業として募集された懸賞小説の受賞作品。当時無名だった三浦綾子が入賞したことや、朝日新聞での連載終了後に何度も映像化されたことで大きな話題を呼んだ。さまざまな言語に翻訳され、「罪」をテーマにした本編と、「赦し」をテーマにした続編『続氷点』合わせて、発行部数は810万部を超える。
三浦綾子文学賞には、30の都道府県から応募があり、応募者の年齢も20代から90代までと幅広く、海外からの応募もあった。