【CJC=東京】教皇フランシスコが5月24日から26日までイスラエルを訪問する。両国関係の改善は、ユダヤ教とキリスト教との融和にもつながる、と好感と期待が高まっている中で、イスラエルとの抗争が続くパレスチナ自治政府も状況を注視している。さらに自治区内では少数派のキリスト者社会の思いもさまざま。
自治区からニュースを発信する「マアン通信」によると、キリスト者活動家集団「カイロス」が、レバノンの総主教にエルサレム訪問の再考を要請している。
イスラエル国家が1948年発足以来、マロン典礼教会の指導者がエルサレムを初めて訪問することなのだ、との論議が背後にある。
「カイロス」は5月9日、ベシャラ・アルライ総主教に、教皇フランシスコの聖地訪問に随行する計画が、イスラエル当局に、「占領」を正当化するために利用されうると警告する声明を発表した。
「パレスチナ人キリスト者として、私たちの宗教的な導き手、指導者に会いたいと熱く思う」と声明は述べながら、それは「霊の祈りの中で、イスラエル占領下ではないところで」会いたい、と強調している。
「カイロス」は、イスラエル当局が総主教訪問を、パレスチナ市民に対する犯罪の永続化から注視をそらすために悪用するとの懸念を浮かび上がらせるとして、占領を「道徳的、倫理的、宗教的に覆い隠すようなことは避けたい」との願いを表明した。
この声明が、自治政府のマフムード・アッバス大統領が7日、訪問ニュースを「評価、尊敬、歓迎」すると総主教に電話で伝えた翌々日に出されたことも、事態の複雑さを示している。
聖地に住んでいるパレスチナ人キリスト者は約20万人と見られるが、西岸地区、ガザ回廊とイスラエル内に分断され、相互往来もままならない。