福島県双葉町は7日、小学館が発行する週刊漫画雑誌『ビックコミックスピリッツ』(4月28日発売号)に掲載されている漫画『美味しんぼ』(第604話)の中で、主人公が双葉町にある福島第一原子力発電所を取材後、原因不明の鼻血が出る場面が描かれるなどしたことで、同町や福島県への風評被害につながるとして、小学館に抗議文を送った。
双葉町は抗議文で、「現在、原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません」と指摘。「(美味しんぼ)第604話の発行により、町役場に対して、県外の方から、福島県産の農産物は買えない、福島県には住めない、福島方面の旅行は中止した」などの電話が寄せられていると、実際の風評被害を明かした。
一方、この問題については、すでに多くの批判が小学館に届いており、小学館は「週刊ビッグコミックスピリッツ」の公式ツイッターで、「編集部へのお電話、ツイッター、メール等々でお寄せ頂いた内容すべてを真摯に受け止め、今後の誌面作りに活かしてまいります」とコメント。また、同誌5月19日発売号と小学館の公式ホームページで、識者による見解や批判を含む意見を集約した特殊記事を掲載する予定だという。
以下、双葉町による抗議文。
小学館への抗議文
平成26年4月28日に貴社発行「スピリッツ」の「美味しんぼ」第604話において、前双葉町長の発言を引用する形で、福島県において原因不明の鼻血等の賞状がある人が大勢いると受け取られる表現がありました。
双葉町は、福島第一原子力発電所の所在地であり、事故直後から全町避難を強いられておりますが、現在、原因不明の鼻血等の賞状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません。第604話の発行により、町役場に対して、県外の方から、福島県産の農産物は買えない、福島県には住めない、福島方面の旅行は中止したなどの電話が寄せられており、復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになると強く危惧しております。
双葉町に事前に取材が全くなく、一方的な見解のみを掲載した、今般の小学館の対応について、町として厳重に抗議します。
平成26年5月7日
福島県双葉町
以下、小学館が「週刊ビッグコミックスピリッツ」の公式ツイッターで公開したコメント。
【小誌連載「美味しんぼ」に関しまして】4月28日発売号の「美味しんぼ」作中における鼻血や疲労感の表現につきまして、多数のご批判とご意見を頂戴致しました。編集部へのお電話、ツイッター、メール等々でお寄せ頂いた内容すべてを真摯に受け止め、今後の誌面作りに活かしてまいります。
皆様からご意見を頂戴した4月28日時点で既に次号は制作済みであったため、5月19日発売の25号と小誌公式HPにて、識者の方々のご見解やご批判を含むご意見を集約した特集記事を掲載する予定です。「美味しんぼ」本編と合わせてご覧頂ければ幸いです。
また、皆様から頂戴いたしましたツイッター上でのご意見に個別にご返答ができず、誠に申し訳ありません。今後とも、読者の皆様のご意見、ご感想をぜひお聞かせいただければと存じます。ご指導ご鞭撻のほど何とぞよろしくお願いいたします。