ピュー研究所が、道徳と宗教についての信条と国の豊かさの関連を調べた。
ピュー研究所のグローバル・アティテューズ・プロジェクトの新しい調査結果によれば、豊かな国の人々ほど道徳に宗教は必要ないと考えていることがわかった。
ガーナやパキスタンでは、宗教的信条なく道徳的で正しい生活を送ることが可能だと答えた人ははわずか1パーセントのみ。ガーナは国連のGDPランキングで82位、パキスタンは43位だ。
GDPのグローバルランキング38位のエジプトや92位のヨルダンでも、信仰なき道徳が可能だと考えている人は4パーセントのみだった。エルサルバドルやフィリピンでは7パーセント。
それに比べて、世界経済の中で5位のフランスや2位の中国では、宗教なく正しく生きることが可能だと信じる人の割合が高い(フランスは85パーセント、中国は75パーセント)。
同じように、経済力世界第6位のイギリスでは、78パーセントの人が道徳的な人間であるために教会や聖書は必要ないと考えている。
しかしながら、この傾向は普遍的とは到底言えない。最も顕著な例外はアメリカで、世界最大のGDPを誇るが、道徳的であるためには神が必要だと考える人(46パーセント)とそうは思わない人(53パーセント)がほぼ半々に分かれている。
経済力世界第15位の韓国も同じく、善人たるには信仰が必要と考える44パーセントの人々とそれに反対する54パーセントの人々に分かれている。
世界第3の経済大国、日本や、36位のチリにおいても、道徳的であることと神を信じることとの関係について意見が分かれている。どちらの国でも、道徳に神は必要ないと答えたのは55パーセントだった。
ヨーロッパはアフリカよりも懐疑主義的傾向がかなり強く、ピュ―研究所が調査したヨーロッパ9カ国の人々の内68.2パーセントが宗教と道徳は無関係と答えたのに対し、調査対象となったアフリカ6カ国でそのように答えた人は12.6パーセントに留まった。
より豊かな国々においては、他の傾向が見られる。アメリカ、カナダ、イスラエル、フランス、イタリア、ギリシア、スペイン、ドイツ、チェコでは、大学教育を受けた人ほど、道徳に宗教が必要だという考えに反対する傾向が見られた。
これは特にアメリカで目立ち、大学の学位を持たない人々の中では信仰と道徳心はつながっていると答えた人が59パーセントであったのに対し、学位を持つ人々の中では37パーセントだった。
また年齢も重要な要因で、若い年齢層ほど道徳的であるために神の助けは必要ないと考える傾向があり、高齢になるほど道徳的指針として信仰にすがる傾向があるようだ。
全体的にみると、この調査の対象となった40カ国のうち22カ国において、道徳的でしっかりとした価値観をもつためには神を信じる必要があると答えた人が大多数であった。このことは特にアフリカと中東で目立った。