聖書協会連合は最近、迫害が激しい国における聖書の頒布が高い割合で増加していることを、報告書を通して明らかにした。
今回の調査結果は、キリスト教が世界で最も迫害の多い宗教の1つであることを示すものとなったが、その一方で、2012年に世界各国の聖書協会から出版された聖書の部数は、これまでの記録を大きく上回り、より多くの聖書が世界に頒布されたことが明らかになった。
2011年の聖書の出版頒布は、全世界で3億8100万冊だったが、2012年はこれが4億500万冊まで増加した。中でも驚くべきことに、最も聖書の頒布数が伸びたのは、現在内線状態にあるシリアだった。反政府運動とシリア政府軍の衝突により、非常に厳しい状況にあるシリアだが、聖書協会によって2012年に同国で頒布された聖書の部数は、前年2011年の8倍になる16万3000冊だった。
「シリアのキリスト教徒は、非常に大きな圧力にさらされており、大きな励ましを必要としている」と、シリアでの聖書協会の働きを管轄するレバノン聖書協会のマイク・ベイソス氏は語る。「シリアの(聖書協会)スタッフは、その需要に応えられる十分な聖書を生産できるよう熱心に働いている」と言う。
一方、シリアに国境を挟んで隣接するイラクでも、同じように2012年は聖書の頒布数が大きく増加した。イラクでは、増加する迫害により多くのキリスト教徒が国外へ退避し、現在イラクには約33万人のキリスト教徒しか残っていないと言われている。しかし、2012年は6万6000冊の聖書が頒布され、前年比で57%も増加した。
また同様の報告が、シリア、イラクの他にも、エジプト、インド、ラオス、ナイジェリアといった迫害が報告されている国で見られた。
聖書協会連合のマイケル・ピロー代表は、特にキリスト教徒への迫害が増す地域において、聖書へ対する需要が増えていることに、大きな力を受けると言う。「世界の特定の地域でキリスト教徒へ対する迫害が増加し、また別の地域では世俗化が進む中、神の言葉がこれまでになくより求められ、また大切にされていることは、大きな励ましであり、心が温まることだ」と語る。
ピロー氏はまた、神の言葉である聖書にデジタル的にアクセス出来ることも、これら聖書の頒布数増加につながった1つの原因だと指摘する。特に聖書のデジタル化は、印刷されたキリスト教文書を読むことが危険な国々に住む人々にとって大きな助けだと言う。
ピロー氏は、迫害下の国で聖書を頒布するという危険と伴う働きをしている人々の守りと祝福を祈るよう、全世界に呼びかけるとともに、すべての人が神の聖なる言葉を受け入れられるよう祈りの協力を求めた。