STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)の論文捏造疑惑を巡って、同論文の筆頭著者である小保方晴子氏が所属する理化学研究所は11日、ネイチャー誌に掲載された同論文の中で使用された画像が、小保方氏の博士論文からの流用ではないかとする疑惑について、「理化学研究所として重く受け止め、調査を開始しました。事実関係をしっかりと把握した上で結論を導き、しかるべき段階で報告致します」と、調査を開始したことを明らかにした。
一方、この他の疑惑については、「これまで指摘されている疑義については、現在継続して行っている調査により結果が明らかになるものと考えていますが、最終的な報告にはまだしばらく時間を要する予定です」としている。
また、現時点では調査中ではあるが、「論文の信頼性、研究倫理の観点」から、ネイチャー誌に掲載したSTAP細胞の論文2つについて、取り下げを視野に入れて検討しているとした。また、14日午後に東京都内でメディア対象の経過報告を行うとしている。
STAP細胞の論文を巡っては、著者の1人である若山照彦・山梨大学教授が、論文の発表前、研究チーム内ではSTAP細胞の証拠となる1つの遺伝子の変化について、変化があると報告されていたが、理化学研究所が先週発表した文書では変化はなかったと変わっていたなどとして、「研究データに重大な問題が見つかり、STAP細胞が存在するのか確信がなくなった」と、他の著者らに論文の取り下げを呼び掛けていることを明らかにした。
一方で、同じく著者の1人であるチャールズ・バカンティ・米ハーバード大教授は、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙とのインタビューで、「私自身が持っている情報に基づけば、論文を撤回する理由は見当たらない」と述べ、論文取り下げには反対の立場を示している。
理化学研究所は、論文の取り下げも検討しているとしているが、取り下げのためには、論文の共著者14人全員の同意が必要だという。