新型万能細胞「STAP細胞」(刺激惹起性多能性獲得細胞)の論文捏造疑惑を巡って、理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーと共に論文を執筆した若山照彦・山梨大学教授は11日、同大学のライフサイエンス実験室で記者会見を開いた。若山教授は、小保方氏ら共著者らに論文取り下げを求めるメールを送っていたが、小保方氏から「騒がせてすみません」などとする返信があったことを明らかにした。共同通信などが伝えた。
毎日新聞の報道によると、若山教授は会見で、小保方氏ら理化学研究所に所属する共著者3人から返信があったことを明かした。また、若山教授が真剣に対応していることへ感謝を示す言葉もあったという。
一方、理化学研究所の加賀屋悟広報室長は同日、文部科学省で記者会見し、研究倫理の観点から論文の取り下げを検討していると発表した。しかし、取り下げのためには、論文の共著者14人全員の同意が必要だという。
これに先立ち、共著者の1人であるチャールズ・バカンティ・米ハーバード大教授は10日、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューに応じ、「私自身が持っている情報に基づけば、論文を撤回する理由は見当たらない」と述べ、いくつかのミスはあったものの、研究結果自体には影響がないとする立場を示している。
一方、若山教授は10日、論文の発表前、研究チーム内ではSTAP細胞の証拠となる1つの遺伝子の変化について、変化があると報告されていたが、理化学研究所が先週発表した文書では変化はなかったと変わっていたなどとして、「研究データに重大な問題が見つかり、STAP細胞が存在するのか確信がなくなった」と、他の著者らに論文の取り下げを呼び掛けていることを明らかにしていた。