新型万能細胞「STAP細胞」(刺激惹起性多能性獲得細胞)を巡って、論文の共著者の1人である若山照彦・山梨大学教授が、「研究データに重大な問題が見つかり、STAP細胞が存在するのか確信がなくなった」(NHK)と述べ、他の著者らに論文取り下げを検討するよう求める一方、同じく共著者の1人であるチャールズ・バカンティ・米ハーバード大教授は、「私自身が持っている情報に基づけば、論文を撤回する理由は見当たらない」(米ウォール・ストリート・ジャーナル紙)と述べている。
報道によると、STAP細胞の実験を担当した小保方晴子・研究ユニットリーダーが所属する理化学研究所は、論文の共著者らが取り下げも含めて対応を検討していることを10日夜に明らかにした。論文の著者は計14人。小保方氏が論文の代表執筆者として筆頭著者となっており、小保方氏、若山教授、バカンティ教授の3人が責任著者となっている。
STAP細胞の万能性を調べる重要な実験を担当したという若山教授は、NHKとのインタビューの中で、「自分が担当した実験については正しいと信じているが、前提となるデータの信頼性に確信が持てなくなった。一体、何が起こったのか科学的に検証することが論文の著者としての責任だと考えている。何より私自身、真実が知りたい」などと話した。
若山教授によると、論文の発表前、研究チーム内ではSTAP細胞の証拠となる1つの遺伝子の変化について、変化があると報告されていたが、理化学研究所が先週発表した文書では、変化はなかったと変わっていたという。若山教授は、一度論文を取り下げ、外部の専門家に検証してもらう必要があるとしている。
一方、バカンティ教授はウォール・ストリート・ジャーナル紙とのインタビューで、いくつかのミスがあったとは認めるものの、研究結果自体には影響はないという立場を示し、「重要な論文が周囲からの圧力で取り下げられることは悲しいこと」とした。