北朝鮮で宣教資料を配布したなどとして拘束されていたオーストラリア人の男性宣教師ジョン・ショート氏(75)が国外追放され、3日、北京空港に到着した。複数の国内メディアが伝えた。
テレビ朝日の報道によると、北京空港に到着したショート氏は涙を見せながら、「とても疲れた。自宅で休息を取る」などと答えた。足取りはしっかりしており、空港から大使館が用意していた車に乗り込んだという。
朝鮮中央通信は同日、北朝鮮のメディアとしては初めてショート氏の拘束について伝え、国外追放の処分を決めたことを報じた。同通信は、ショート氏のものとされる謝罪文などを公開。ショート氏は同文書で「北朝鮮の人々を怒らせ、侮辱した」ことや、「取り消すことの出来ない敵対行為」したとして謝罪した。
報道によると、香港在住のショート氏は、故金正日総書記の生誕記念日(2月16日)合わせて先月15日に観光客として北朝鮮に入国。首都・平壌市内の寺院や地下鉄の中などで伝道パンフレットを配布したとされている。ロイター通信は、16日夜に北朝鮮当局者がショート氏の滞在先ホテルを訪れ、尋問後に拘束したと伝えている。
朝鮮中央通信によると、ショート氏は2012年8月にも北朝鮮を訪れており、その際にも地下鉄で同様の行為をしたという。また、CNNは、ショート氏は1990年代には中国でも宣教活動を理由に何度か拘束され、2年近く中国から入国を禁止されたことがあると伝えている。
朝鮮中央通信は、ショート氏の国外追放の理由として「北朝鮮法の寛容」「高齢であることへの配慮」などを挙げた。