夫は妻を見捨てているか?
家族の祈りの時間を導くことに関して、夫が家族を「見捨てている」と主張するクリスチャンの執筆家がいる。しかし、全てのクリスチャンの指導者が、夫が家庭の霊的なリーダーになるべきだとは思っていないようだ。
宣教、伝道、教会定着のための米ミニストリーグループ「e3 Partners」の南米コロンビア宣教リーダーのサム・イングラシア氏は、「妻が『あなたに見捨てられた感じがする』と心の内を打ち明けてきました。霊的な戦いや精神的な戦いが、彼女の肩だけにのし掛かっていたのです」と話す。
新しい著書『Just Say the Word(ただ、御言葉を口に出せ)』の中で同氏は、聖句を用いて祈ることで、男性は、正しく妻を導くことが出来るようになると書いている。この本には「YouVersion」(iPhone、iPadなどで利用できる聖書アプリ)を使える読書プランも付いており、夫が妻と共に聖句を用いて祈るためのツールを与えてくれる。
一方、聖書的平等を支援する米団体「Christians for Biblical Equality」のミミ・ハダド代表は、結婚生活の中で夫だけが全面的に霊的なリーダーシップを取るべきではないと言う。「クリスチャンたるものは、お互いにリーダーシップや権限を分かち合うものだと言われたりしますが、つまりそれは、仕え合うよう求められているということです」と説明する。
男女差別の偏見に染まったリーダーシップを非難するハダド氏は、「教会での役割は、男はリーダーシップ、女は奉仕、というふうに、はっきり分かれていると思い込んでいる方もおられます」とコメントし、これは罪の結果であり、教会が拒むべきものだと強く主張する。
夫の導きで霊的に親しい関係に達する
イングラシア氏は、自身の本の読者を男性に限定してはいないが、クリスチャンの男性は妻をリードする使命を感じるのだ、と主張する。「クリスチャンの夫は、妻を導きたい、妻と霊的に親しい関係を持ちたいと願っているのだが、そこに到達出来ずにいる」と説明する。
同氏は、「リーダー」という言葉を使わず、夫の家庭の中での霊的な役割をより良く表す言葉として「羊飼い」を好んで用いる。男女の相違を強調するつもりはなく、ある特別なニーズを満たすために同著を著したと言う。「羊飼いとしての役割を担えていない、と感じている男性が多い」と語る。
イングラシア氏は、「私は、意図的に定期的に、霊的に妻とつながること、その関係の中でリーダーシップを取ることをしていませんでした。御言葉を用いて祈ることが、解決策となりました。福音派の我々は、同じことを同じパターンで祈りがちです。ちょっとマンネリになって来たと思うほどです。ところが聖句をたどり、その言葉の印象や鍵となる語句や教え、約束、祝福を聖霊に指示して頂くようにしたところ、その示された一つ一つが祈るべきポイントとなったのです」と言う。
『Just Say The Word』は、この祈りのポイントを発見し、妻との祈りの時間に活気を与えるために、それを用いられるよう、クリスチャンの男性を訓練するための本だ。イングラシア氏は、第1ペテロ3章7節(同じように、夫たちよ、妻を自分よりも弱いものだとわきまえて生活を共にし、命の恵みを共に受け継ぐ者として尊敬しなさい。そうすれば、あなたがたの祈りが妨げられることはありません)を引用し、「ペテロは、祈りと夫婦の調和との間には関係があると言っている。妻のことを気遣い、理解するような結婚生活を送るよう求められているということだろう」と説明する。(続く:「(4)聖書が夫に求めるリーダーシップとは?」へ)