夫の家事負担が40%以下、妻の収入が40%以下に留まるような、伝統的な男女の役割を担う夫婦は、性行為の回数が多く、離婚率も低いことが、最近の研究で明らかになった。この報告結果が、クリスチャン夫婦の生活の中で「男性の役割はこれ、女性の役割はそれ」と決定づける証拠となるかどうかについては、専門家の間でも意見が分かれている。
「聖書的男性像・女性像委員会(The Council on Biblical Manhood and Womanhood)」のオーウェン・ストローン副委員長は、「統計を取ることで神学の研究をするつもりはないが、神が男女別々に与えられたご計画に従うことで祝福が与えられることを証明する研究結果は、いつでも歓迎する。特にこの研究は、男性と女性には確かに違いがあるということを証明している。男性は(女性を)養う使命を与えられており、その男性らしさがまた女性を惹き付ける魅力でもある」と説明する。
一方、聖書的平等を支援する米団体「Christians for Biblical Equality」のミミ・ハダド代表は、「生物学的な相違は、使命とは関係ありません。キリストに従うことが使命なのです」と激しく反対した。
ハダド氏は、「昨今の結婚は自己満足のためのものが多く、昔の結婚は社会に貢献するため、神に尽くすためのものでした。クリスチャンは、どれだけ寝室で楽しめるかを心配するのではなく、自身が神や他の人々への貢献度をどれだけ上げられるかに力を注ぐべきです」と主張する。
この研究論文「人類平等主義、結婚生活における家事と性行為の頻度について」は、昨年12月、米誌『The American Sociological Review』に掲載された。先月上旬に、米ニューヨークタイムズ紙の社説がこの調査結果を吟味し、結婚生活がより平等である方が性生活も向上するという一般的な考え方を覆す結論が出たことをほのめかした。男性がある種類の家事を行うと、その夫婦の性行為の頻度が減るという結果が出たのだ。
男性がある特定の家事を引き受けると、女性的だと思われ、その夫婦の性行為の回数が減ると報告されている。米ニューヨークタイムズ紙は、「中立になろうとし過ぎて、中性になってしまったのかもしれない」と皮肉っている。
性のアイデンティティーの専門家で、『Understanding Sexual Identity: A Resource for Youth Ministry(日本語訳:性のアイデンティティーを理解する:青年ミニストリー用資料)』の著者であるマーク・ヤーハウス氏は、「我々の社会は、少し性行為に焦点を置き過ぎている」と述べ、性の平等が夫婦間の親しさに貢献している結果を示す世界規模の研究について触れている。
ヤーハウス氏は、エドワード・ローマン氏の、保守的な文化が根強い国々と、より人類平等を重んじる社会基準のある国々の2万7000人を対象とした比較研究の調査結果を挙げ、「このような、より広範囲の研究では、人類平等主義の傾向が強い国ほど、(夫婦関係の)満足度が増す結果が見られる。人類平等主義の社会の人々の方が、お互いの望みをかなえようとするので、夫婦関係の質も向上するのだ。男性がより伝統的な基準を持ち、男女の役割の間に差があればあるほど、女性にとって満足できない習慣が増える傾向にある」と説明する。(続く:「(2)「性・身体の中にすでに神の計画がある」「聖書は男女に権限を分つよう求めている」」へ)