「純潔文化」への反抗
米オレゴン州ポートランドの執筆家エミリー・メイナード(28)さんは、彼女の友人の多くが禁欲を捨てるのを目撃してきた。メイナードさんは、それを「純潔文化」、または小さいころ教えられた保守的な性や交際の基準に対する反抗だと捕えている。
メイナードさんは、「家族や教会、クリスチャン社会がコートシップ(Courtship、結婚を前提とした異性交際)という形を好むのです。『結婚する準備が出来ていないのなら(または経済的に自立できるまで)交際はするな』とか、『女性は特に心を守りなさい』などと言われたものです。片思いをしても、自分の心の一部を失う、とまで言われました」と言う。
メイナードさんや友人たちは、成長するにつれ子どもの頃の教えに「がっかり」してしまい、「純潔文化」が支持するものとは正反対の選択をすることになった。メイナードさんは「『神様が結婚相手を連れて来てくれるのを待ちなさい』とか『待ちわびてはいけません、誰とも寝てはいけません。ちゃんとしていれば、ご褒美(みたいなもの)を貰えますよ』などと言われながら育ちました。今20代後半から30代前半でデートをしている多くのクリスチャンは、最初正しい方法で結婚したんです。教えられた方法に従ったんですよ。純潔を守って結婚した。なのに25歳になるまでに夫婦生活が崩壊してしまった。教会や『純潔思想』に幻滅してしまった人たちが、デートの世界にはまっているのだと思います」と付け加える。
福音派の一部の人々にとっては、このような反動が原因だったかもしれないが、NAEの調査では、殆どのクリスチャンが、自分の性的活動が、社会的な影響から来たものだとし、その次に聖書的な基盤が弱かったことや、『今楽しければそれで良い』と思ってしまっていることなどを要因として挙げている。
教会は模範を示さず、この世の文化を真似ている
米団体フォーカス・オン・ザ・ファミリーの独身者・若者支援ミニストリー「Boundless」の指導者リサ・アンダーソン氏は、婚外性行為に対するクリスチャンの寛大な態度に驚いてはいない。
アンダーソン氏は、「現在の教会のデートの在り方を見ると、この世の在り方と殆ど変りありません。デートの仕方や、デートや結婚に対する態度などに、さほど差はないのです。性行為に関しては、クリスチャンによっては差が出る場合もありますが、これでさえもさほど区別はつけられません。他の全ての点において、同じような態度や行動が見られます」と説明する。そして教会が、世間から取り入れた態度や行動として、「嫌になるほどデートをする」「無期限にデートをする」「無計画に誰とでもデートする」「結婚を目的とせず、ただ気晴らしのためにデートする」などを挙げている。
アンダーソン氏は「クリスチャン社会としては、非常にいらだたしい状況です。皆さんは、永続するものを求めているのに、そこにたどり着けない方程式をずっと使っているのですから」と述べる。(続く:「(3)教会への出席率・聖書を読む頻度は婚外性行為の頻度に影響するのか?」へ)